2012-01-17
横浜美術館「松井冬子展「世界中の子と友達になれる」」を観てきました。

横浜美術館にて
「松井冬子展「世界中の子と友達になれる」」
を観てきました。
息子は日本画がなぜか好きです。
なぜか日本画、特に浮世絵が好きなんです。
なので基本春画以外は子供には、とか思わず
浮世絵や日本画は選別せずに見せてきました。
なので松井冬子さんの作品に関して
恐怖で怖くてみれないということはないかなと思い
息子を連れていってみました。
全体的に見ても息子は特に恐がりはしませんでした。
子供が好きなモチーフである犬や鳥が幽霊のように見えること、
でも国芳の描く化け猫のように楽しさがないことを不思議がっていました。
この絵を描いた人は動物好きじゃないのかなあと呟いたり。
そして「おばけ」と「幽霊」の違いを聞いてきました。
私なりの答えはこんな感じ。
「幽霊というのは意地悪されて死んでしまったけど
「あの人に意地悪しなきゃ!」っていう意地悪な気持ちで
体の中がいっぱいになっていて次の世界に行けない存在かしら」
するとこんな返事が。
「この人は意地悪されて「くやしいけど負けない!」」という気持ちで
絵を書いていたのかな。
だったらなんか怖くなくなってきた。」
お怨念肯定派ですね。
そしてメインである「世界中の子と友達になれる」(2002年)
をじっくりと鑑賞。歌舞伎を鑑賞する息子には藤の花は身近な存在。
そしてその藤の花の変化の様、少女の足先の赤い腫れを次々と見つけながら
この女の子を描いた作家さんがいかに悔しかったかを
自分なりに想像して聞かせてくれました。
これって対話型鑑賞になるのかな。平野さんいつもありがとうございます。
そして息子が驚いたのは鑑賞が終わった後に
この展覧会の図録を見た時。
松井冬子さんのお姿を拝見し
「ええええーーーーー!!!こんなにキレイな人なのーーーーー!!!」
驚く所はそこかい。息子曰く
「こんなキレイな人があんな絵を書くとは思わなかった」
「怖いことは怖い人がおこすと思っていた」
そして
「本当に怖いことをする人は怖い顔をしていないんだね!」
そうなのよそうなのよ。
今一番怖いところはそこなのよ。
君よーわかってんじゃないの!
「世界中の子と友達になれる」というタイトルの意味を再確認してみます。
(親子で)正直学校での友人作りにいつも苦労しているので
このタイトルは正直胸がきりっとします。
友達なんてそんな簡単に出来るわけないじゃない。
しかし作品を拝見していくとこのタイトルは正規の意味の反逆性を
変化球で表していることがじわじわと伝わってきます。
腹黒いくせに澄ましている輩どもに「きれいごと言ってるじゃねーよこのボケ」
とあざ笑う暗黒の女王様に拍手って感じでしょうか。
横浜美術館というのは個展の箱として非常に難易度高いのではと
個人的に思っている私。
今回は過度な作り込みもなくすごく素の勝負な感じがよかったです。
作品から発する怨念的なパワーがストレートに出てきてるような感じがします。
悪女を演じる桃井かおりさんのひとり舞台を見ているかのようでした。
ちなみにこのブログを主に見て下さってる子育て中のお父さんお母さんから
「子連れ鑑賞出来ますか」と聞かれたらどう答えるか。
「幽霊画に興味があって性悪説をにやっとしながら聞ける子だったら」
と答えたいと思います。(そんな子どれだけいるのかな。。)
正直のほほんとしてる環境の子だと衝撃が強すぎかもしれません。
作品の前で感じる因縁や邪念のパワーはものすごい体験になると思います。
最後に気になった点を。
キャプションが黒字に白がとても読みづらかったです。
苦労してるご年配の方を多くみかけました。
作品名の下の解説文が魔女的な怨念が込められて
とても素晴らしかったので何度も読みたかったのですが。。
世界観を保ちたいのなら資料を用意するとか
もうひと対策欲しかったです。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
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