2011-10-18
東京国立近代美術館「イケムラレイコ うつりゆくもの」ギャラリー4「レオ・ルビンファイン 傷ついた街」を観てきました。

東京国立近代美術館にて
「イケムラレイコ うつりゆくもの」
を観てきました。
秋、本当に日々忙しくなってきました。
日々不安に思っている事に正面から向き合っている時間が
どんどん削られていきます。
来年の今頃自分がどうしているかなんて
考えていたら不安で押しつぶされそうだから
気をつけなきゃいけないことは気をつけてその他はあえて考えずに走り続けています。
そんな気持ちの中イケムラレイコさんの展示を拝見する機会が。
いつものように予備知識無しで展覧会へ。。
作品の中を進むにつれ独特の浮遊感というか
とても柔らかい空気感に包まれました。
特に今回のイマムラケイコさんの作品には
「イマムラさんご自身の孤独感」を受け入れている感覚が
とても共感出来ました。
この孤独を受け入れる行為を自然に行っているのよという行動が
が同じ女性として私にはとてもなのでした。
私たち家族は今年の7月にドイツに行きました。
ドイツに行ってすごく感じたのが【話す力】の必要性。
今回はドイツの方と話す機会が多かったのですが
本当に自分から「話す事」が多かったです。
考えてみると「話す事」ってすごく難しいことですよね。
自分が何を話すか考えて話さないと
相手を傷つけてしまうこともあるし。
そして話すことにより相手も話し更に何を話すか考えて。。
つまり「話す」という行為は自分の中で世界が出来ていないと
とても大変だということ。
これって日本語でも大変なのに
異国で長期間続けるのは本当に大変なことのはず。
自分の中で色々な「不安」が根付いていくことにも向き合わなくてはいけないのだから。
イマムラさんはドイツで制作活動をされているとのこと。
色々ご苦労もあったと思います。
おそらくイマムラさんご自身もさまざまな不安を継続的に抱えておられたと思います。
その不安を抱えてる自分をきちんと受け入れ
不安の存在を愛でる段階まで浄化させ作品内に反映させているのではと感じました。
イマムラさんの作品には「不安」を共有する強さがあると同時に
鑑賞者側が感じているさまざまな「不安」をすべて受け入れてくれる
懐の深さを強く感じます。その暖かさは不安から私たちを解放してくれます。
作品の前にいると暖かくなりそしてふわっとなります。
様々な人が展覧会の感想のキーワードとして「浮遊感」をあげていらっしゃるので
この浮遊感覚を皆感じているのだなと思います。
不安を受け入れ、そこから解き放つという行為を強く感じたのが
「横たわる人物像:彫刻と絵画」のシリーズ。
展示内に入ってすぐ感じたのが「不安から解放される時の感覚」でした。
子育てしてる人なら聞いたことがある人もいらっしゃると思うのですが
子供というのは猛烈に怒られてたりして辛い思いをすると
「寝る」という行為に走る子がいるんですよ。
辛い状況から逃げる行為になるのかなこれも。乳幼児が集団で遊んでいて
1 VS nになっていじめられたりした時に寝る行為に走る子がいるんです。
私も子育てしてなかったら想像出来ませんでしたが
実際にそういう場をみると「困難からの解放」ってこういうことなのかもと
いろいろ思うところがありました。
目の前の困難に真正面から立ち向かうことがたったひとつの正解ではありません。
わたしにとって一番大切なことは昨日笑顔のあなたが明日も笑顔であること。
わたしたちは、すべてが「うつりゆくもの」であるという事を知ってしまったから。
今日もあいましょう あしたもあさっても、次はもうわからないからね。
そう、すべてはうつりゆくものだから。
同じチケットで鑑賞可能な「レオ・ルビンファイン 傷ついた街」
を鑑賞して改めて感じたことがあります。
「レオ・ルビンファイン 傷ついた街」は9月11日の事件から
それぞれに感じる不安と向き合っている人々のポートレートでした。
世界中を不安に陥れたあの事件。
しかし世界中が政情不安に落ちたわけではなかったわけで。
あくまでも対岸の事件だった地域もあったわけです。
今回のこの「傷ついた街」では撮影者側に「不安を対岸からみている」感が
を私個人はどうしても拭えなかったのですね。
もちろんそういう冷静な目も作品を制作するにあたり
とても大事なことなんでしょうけど3月11日を東京で体験し
7月にドイツで「当事者」として対岸から観られる経験をした私。
それぞれの人が感じる不安について様々な想いがうごめくことを
実感させて頂きました。
イケムラさんの描く作品から発せられる
「こちらが抱える(情けない)不安も含めて
落ち着けない自分を見守ってくれる抱擁感」
が愛おしくてたまらない気持ちになりました。
もっと早くに訪れればよかったです。
10月23日(日)までです。お急ぎ下さい。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術