2011-07-27
ギャラリー椿「コイズミ アヤ 組み立て/Overflow(コップの水があふれる様について)」を観てきました。

ギャラリー椿にて
「コイズミ アヤ 組み立て/Overflow(コップの水があふれる様について)」
を観てきました。
今回は「箱」です。
まずギャラリーの中に入った時とても不思議な感覚になりました。
立体パズルのように複数のパーツが収納され、箱が「組み立て」られる箱型の作品が並んでいます。
立体パズルのパーツを並べたような空間。
家の立体模型のような感覚でもありますが
でもなんだかとても虚構感に溢れています。
作品の中には特に生き物を連想させるパーツはありません。
これから生き物の気配が入るのかそうでないのか
正直よくわかりません。
そして私がすごく気になった作品である
開閉式の箱型作品「Overflow(コップから水があふれる様について)」シリーズには
生き物の気配の残り香が感じられます。


ここに何かがいたような気配。
そして箱を閉じて運ぶ事が可能。
生き物の気配どころかその箱の存在そのものを消してしまう行為。
そう、実は存在は簡単に無くなってしまう。
3月11日以降私たちは存在の軽さを実感させられる事態に追い込まれたわけです。
私たちが絶対と思っていたものは実は絶対ではなかった。
ここで作家さんのコメントを転記させて頂きます。
------------
「Overflow(コップから水があふれる様について)」は昨年制作しました。 しまい込むべき感情のセンシティブな状態について、 心の中のコップがいっぱいになり、水があふれ出すようなシーンが現れていた経験があります。 その小さな氾濫を思ってつくりました。 感覚的に、この作品を今回の個展にぜひ出品しようと思ったものの、この文章を書く(言語化する)段になって、 震災津波と原発の汚染水の流出の最中、それ以前の個人的な氾濫についての作品を 「Overflow」というタイトルのもと出品することに畏れも感じています。 私はこの震災直後、周りの友人数名を巻き込み、巻き込まれて、 そのシーンの現れていた経験時と同じような状態に陥り テレビから流れる津波の映像は、心理的に直接作用する心の実像となったように感じています。
------------
我慢して我慢して
その我慢した感情がふっと盛り上がり溢れ出る感覚。
震災後何度も体感した感覚でもあります。
その感覚は沢山の人に訪れたはずです。
ただそれはあくまで自分の中での心での中で起こること。
心の中を暴露されたような気持ちになりました。
静かに心乱される展示です。
心を深く揺さぶられました。
息子は箱の中を1つ1つ覗き込みながら
「いないねー」と確認していました。
あえて何がは聞きませんでした。。。
8月6日[土]まで。日曜休廊です。
スポンサーサイト
theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術