2011-06-18
高島屋美術画廊X「北野 謙展 「深海 ー世界があることへー」」を観てきました。

高島屋美術画廊Xにて
「北野 謙展 「深海 ー世界があることへー」」
を観てきました。
「our face 」
「one day 」
「溶游する都市/Flow and Fusion」
よりとの展示とのこと。
「our face 」は拝見したことがありました。
ある場所にいるあるカテゴリーの人々を100人(人数決まってるんだっけ?)
ネガを均等に正確に焼き付けていくんですよね。
そこに浮かんだ「見た事があるような気がするけど会ったことはない人」に
とても強烈な「恐怖感」を感じました。
沢山の人を重ねて見つけていく理想像。
沢山の人を重ねて消えていく個性。
私たちはまず何から気づくのでしょうか。
そして何に近づいていくのでしょうか。
「one day 」はとても恐ろしかった。
こちらはある場所のある一日を1枚のフィルムに焼き付けているそうです。
様々な場所の、出来れば24時間あるいは日の出から日没までを、
かなりの長時間露光で銀塩フィルムに撮影しているそうです。
人の気配があるけど誰も確認できないという
虚構感に溢れていました。
震災直後徒歩で帰宅した時の街の風景を思い出しました。
「溶游する都市/Flow and Fusion」でも個々の存在が
いかにちいさいものかを認識させられます。
個々の存在を認識しようとする前に
この濁流は激しく、そして強くその存在を流していきます。。
存在は本当に簡単に押し流されてしまうのです。
そうなんですよね。人の存在って実はとても小さいもの。
なのに広大な「夢」や「居場所」を求めよと
大人は子供によく言ってきますよね、
出来ていない大人のほうが断然多いのにね。
北野さんの写真を拝見していると
「自分は時間のなかの、また現実のなかの一粒子であること」
という現実をとても芸術的に見せつけられます。
そして
「自分の存在の小ささ(を自分が認識すること)は、むしろ確かさであり、また世界の大きさである」
と冷静に教えてくれます。
現実を知ったことでの脱力感と
全体像を把握出来たことでの安心感。
とても不思議な感覚になりました。
とても見応えがある展覧会でした。
無休で午後8時まで開廊というのもこのご時世とてもありがたいですね。
7月4日(月)まで。
(最終日は午後4時閉会だそうです)
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術