2011-05-21
ミヅマアートギャラリー市ヶ谷「宮永愛子展「景色のはじまり-金木犀-」」を観てきました。

ミヅマアートギャラリー市ヶ谷にて
「宮永愛子展「景色のはじまり-金木犀-」」
を観てきました。
再会の挨拶をする度に「同じ私ではもう会えないかもしれない」
と思う自分に悲しくなる今日この頃。
ねえ、これって「日常」なの?
展示についてギャラリーのスタッフさんと談笑する話題に
「地震が起きた際に作品は大丈夫だったのか」
が必ず出てくる今日この頃。
ねえ、これもやっぱり「日常」なの?
そもそも「日常」ってなんでしょう。
私が「日常」って思っていたことはなんだったのでしょう。
ずっと同じ日々を過ごしているはずなのに
時々感じる猛烈な不安感、これも「日常」?
そんな気持ちに葛藤する自分に何か答えを促してくれるような空間が
ミヅマアートギャラリー市ヶ谷にありました。
皆それぞれの日常において小さな破壊と小さな誕生を繰り返しながら
それぞれの世界のバランスを保っている。
そんなそれぞれの世界がつながってひとつの世界。
自分が何も出来ないと責めないで。
まずは自分の大事な人の世界を守ること、
自分の出来ることを行う。その行為に誇りをもって。
宮永愛子さんの作品といえばナフタリンですが
今回私がとても心に響いたのは
「そらみみみそら」のインスタレーション(2011年)でした。
最初この空間をみた時インスタレーションの意味を理解しようと集中しました。
うむ。
部屋の中からいくつもの種類の音が聞こえてきました。
しかもかなり沢山。
うむ?
あれこの音どこから?
スタッフさんにお話を伺ったとこと
こちらは焼き物に貫入が進むとき奏でられる音なんだそうです。
つまり器の中の世界から直接聞こえてくる音。
通常なら本当に「時々」鳴るはずなんだそうですが。。。
観に行った私たちに何か伝えたかったのでしょうか。
ほんまによく鳴っていました。スタッフさんも驚くほどに。
この音は本当に聞けないときは聞けないのだそうです。
きっとあのお碗たちは
「世界のバランスをとるために必要なこともあるのよ」
って私に伝えてくれてるんだなと思うことにしました。
沢山のキンモクセイの布の中で瀬戸内寂聴さんの言葉を思い出しました。
思い出した言葉を確認し転載しておきます。
----------
世の中はおおきな編み物と思ってください。
編み物は一目一目編んでいきます。
編み物の目が、右の目と左の目と、上の目と下の目と、
ずっとつながっているから次から次へとつながって、
あたたかいマフラーやすてきなテーブル掛けになるのです。
あなたはその編み物の一目なのです。
虫に食われたりしたら大変です。
上下左右たくさんの編み目に迷惑をかけてしまう。
小さくても自分がしっかりとした一目でいること。
小さくでもあなたの存在は大切なのです。
しっかりしなさい。
----------
「生きることば あなたへ」瀬戸内寂聴(光文社)
しっかりとした一目でありたい。
自分の世界は自分以外の人の世界とつながっているのだから。
5月28日まで。
月曜休廊です。
スポンサーサイト
theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術