2019-04-13
東京都現代美術館に行ってきました。

東京都現代美術館に行ってきました。
3年間にわたる休館を経て
2019年3月29日
リニューアルオープンした都現美。
思えば都現美にはずいぶん足を運ばせて
いただきました。
今回新しい展覧会が
どのようなものか
とても楽しみにしていました。
もちろん企画展も素晴らしかったのですが
今回は別の視点から触れてみたいと
思います。
今回、私はコレクション展に
心を奪われることになりました。
今回のコレクション展は
2期に分かれているうちの第1期です。
タイトルは「ただいま/はじめまして」。
都現美はなんと
5000点近い所蔵品があるとのこと。
そして様々なジャンルから
近代から現代に至るまで
現代美術を中心に
様々な作品をコレクション展として
紹介してくださっていました。
今回本コレクションを拝見しながら
非常に懐かしい思いがこみ上げてきました。
その想いの頂点は
意外なところからやってきました。
コレクションは1階と3階に分かれています。
1階から3階に上がるのは
基本的にエレベーターを使います。
私もそうでした。
しかし子供が小さかった頃
どうしても階段上りがしたいと
いうことで3階まで登り下りを
繰り返した事がありました。
都現美は大きな展覧会でなければ
行き交う人は
それほど多くありませんでした。
子供がゆっくり歩くには
適した場所でありました。
色々なことを思い出しました。
今回のコレクション展は
「あこれ見たことあるな」と
感じるものもあったり
初対面の作家さんも多数おられました。
約20人の作家が「はじめまして」
だそうです。
これらの作品は
主に休館中に集められとのこと。
まさにはじめまして。
こうやって美術館は
新しく変わっていくんだなぁと
思いながら鑑賞。
そして3階の奥にいた時、
思わず涙が止まらなくなりました。

それは宮島達郎さんの作品の前での
出来事でした。
改装前も宮島達郎さんの作品は
同じ場所にありました。
タイトルは
「それは変化し続ける、それはあらゆるものと関係を結ぶ、それは永遠につづく」。
静かにそして大きなあの部屋の中に
1つだけあるその作品。
赤いライトの光をぼんやり観ていると
いろいろなことを思い出しました。
私が息子とこの作品を
初めて見たとき、息子は
赤ちゃんだったと思います。
ベビーカーに乗っていた
時もあったはずです。
そして今、
彼はこの都現美で
いろいろな経験をして
経験を経て日本から離れ
そして一時帰国して
今この場に立っています。
私たちはいろいろな世界を
旅してきました。
本当に色々なことがありました。
ああ、ただいま。
公共の美術館と言うのは
パブリックの場所でありながら
鑑賞者それぞれの歴史とのリンクが
如実に現れる場所であると思います。
子供が小さい時
こんなことがあった。
親が動けなくなる前
こんなことをした。
色々なことを
思い出すでしょう。
ここに来たらこの作品がある。
人は変わっていくけれど。
もう息子とこのように来れる機会は
そう多くないでしょう。
息子が、そして自分が
どんな風にこの時を
思い出してくれるかなと
考えていたら
涙が止まらなくなりました。
できることなら
このように「ただいま」と
感じれる空間がある
美術館でずっといてほしい。
息子が彼の奥さん、子供と来た時も
「ただいま」といえる場所で
あってほしい。
そしてどうして「ただいま」なのか
語り継いでほしい。
公共の美術館というのは
いろいろ事情もあるでしょうから
その場所をずっと保っていくのは
とても大変だと思います。
人が生きていくのとは
また違った意味で
その美術館と言う環境も
生きていってる訳ですから。
だからこの「ただいま」と言える場所
に再会できた事に
深く深く感動しました。
そして
「ただいま」と言える人が
これからも増えていけるように
自分の出来ることを
していきたい。
改めて思いました。
いろいろな思いを
この中で感じれるような空間が
いつもその場所にある。
それがどれだけ
その人の人生の中での安らぎになるか。
帰る場所になるか。
本当にありがとうございます。
リニューアル、おめでとうございます。
そして「ただいま」。
6月16日まで。
詳細は公式サイトをご参照ください。
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