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2018-05-05

Wei-Ling Contemporaryにて「SEEN 」を観てきました。




クアラルンプールのWei-Ling Contemporaryにて「SEEN 」を観てきました。


クアラルンプールのギャラリーをチェックする一番楽な方法は、
FaceBookページをチェックすることです。
情報を辛抱強くチェックしていくと時々「!!!!」
という展覧会に出会う事ができます。




以前、インターネットで拝見し「うわこれすげえ」と思った作品がありました。
それはニューヨークの街角で拾った「ポイ捨てされたゴミ」や
「髪の毛」から採取したDNAによりその人の顔を
3Dプリンターで再現するという作品。
Heather Dewey-Hagborgの「Stranger Visions」は
こんな事が出来るのか!と驚かされるような衝撃がありました。

作品は総合インスタレーションのスタイル。
そのゴミを拾った場所、
ゴミそのもの、
そして周囲の情報が表示されています。
取り出したDNAの情報から性別、瞳の色なども表記されています。
DNAの情報量が多ければもっと詳細な情報、
例えば「そばかすの数」などの情報も手に入れる事が出来るそうです。
ちなみに制作過程はこんな感じ。



そしてこのデータによって再現された顔とともに
展示はとても静寂を込めて置かれています。
この静寂とデータによる再現の残酷さは
とても微妙なバランスです。
見ていてとても興味深いけど同時にとても恐ろしくなります。
ゴミは捨てなければと想いを新たに出来るけど、
でも髪の毛って勝手に落ちるやん!どうしろって!!



今回、このHeather Dewey-Hagborgの「Stranger Visions」
がマレーシアのクアラルンプールにある
Wei-Ling Contemporaryで展示されるとのこと。
こりゃ観にいくしかない!と観に行きました。



今回はグループ展としての開催。
テーマは「Seen」。「See」の過去形ですね。






今回はみるという事がテーマです。
私はシンガポールに越してから「見る」という事に対して
少し考え方が変わりました。
シンガポールは監視社会として有名です。
私はシンガポールは(実際気がついていなかったのだけど)
多くの監視カメラがある社会であることを知ります。
最初は驚きましたが、でも別になれちゃうんです。




「見られてる」ことは慣れて消える。




今回の作品たちは
見るという行為が消えていく様を
とてもシンプルなアプローチで捉えています。
見るという行為そのもののシンプルさと、
見られる事によって持っていかれるもの、
失うものへの多角的アプローチとして表現されている
「見られる側が忘れていた部分」を
より明確に強制的に思いだせ!と
攻め込んでくるので辛いです。


もちろん注目したいのは
Heather Dewey-Hagborgの「Stranger Visions」。
おおおやっとゴタイメーン!






そこで感じたのは不気味なほどの静寂さ。
写真で拝見した時と別の印象も。
それは「3Dプリンタの精度」でした。







今回の作品は2013年に発表されたもの。
近くでみると肌のカーブが細かい平面の集合体である事が肉眼でもわかります。


2013年の時点で
「技術進化によりこの再現の技術はどんどん上がっていくだろう」
とのこと。


確かに2017年の作品は映像を見るだけで
既に再現力が格段に上がっていることはわかります。


技術の進歩により
「見られる」という行為はどんどん鈍化していくのでしょうか。
その鈍化により見られる側である私たちは何を失うのでしょうか。



ちなみにこの作品。
ポンピドゥーセンターとプライベートコレクションとして
所有者がすでにいるそうです。
この事実も結構怖い。
自分の知らない場所で知らない人に自分のDNAが開示されてる。。
これは子供が成人とか老人になった時どうなってんのかなあ。。
と改めて身震いしました。


7月1日まで。
MidValley Megamall という非常に大きなモールの最上階に
展示スペースはあります。非常にわかりづらい場所なのでご注意ください。
詳細は公式FBページをご参照ください。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

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