2017-07-08

森美術館&国立新美術館「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」を観てきました。



一時帰国中です。
今回の一時帰国の目的の1つは森美術館国立新美術館で開催する「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」をじっくり観ること。
ここでレビューとか思ったですが予想以上に深く、深く、深い展覧会だったのでレビューというか個人的想いを綴りたいと思います。


ちなみに私が訪れたことがある東南アジアの国は

シンガポール(住んでる)
マレーシア
インドネシア
タイ
ベトナム

です。
そしてシンガポールに住んでいて上記以外で身近に感じるのは
友人のメイドさんに多い

フィリピン
ミャンマー

です。

今回はこの「行ったことある&そこの国の人を知ってる」というのが私に多大な影響を及ぼすことになりました。当初私は「この展覧会を見た人がみんな東南アジアに行きたくなるといいなー」と考えていました。LCC安いのよーとか呟きながら(でもLCCで7時間以上乗るのはサバイバル好きにしか私は勧めません)。でも今回、この展覧会を見て私は「私は何も知らないで能天気すぎだったのではないか」と頭を抱えることになりました。
表現者の歴史、今、抱えている諸問題についてどう思うかちゃんとあんたは考えてるのか?と問題提起に固まってしまった感じです。



現地で美術館ガイドをして、それなりに記事などを書いて、自分的には東南アジアの歴史を普通のおばちゃんよりかは知ってる方だと思ってました。でも、知ってるからといってインスタ映えする写真を夢中になってる人に憤りを感じながらも「お前だって何も知らなかっただろう!日本で歴史で習わなかっただろう!」と言われたらもう土下座するしかないって猛烈に辛くなりました。ああ私なーっんもわかってないって。



でもね



だからこそ、これからその背景やちょっとした感じたことを共有しあって、そしれその共有から新たな「あなたをもっと知りたくて」になってもいいと思うんですよ。



というわけでこれから、幾つかの作品で私がグイグイ感じた理由を書き連ねていきます。これは正直単なる個人的感想でしかありません。でも何も知らないでああ綺麗だなって見るより「あああっちに住んでるおばちゃんがこんなこと言ってたなあ」って思っていただき、そこから「自分ももっと知ってみよう」と思っていただければ幸いです。

もっと書きたいことあるので加筆か別に記事も立ち上げます。



1;2つの展覧会、どちらから観るべきか


私は断然、森美術館を先に観ることをお勧めします。
理由は明確です。国立新美術館の方が終わり方がシンプルにハッピーになるからです。家族連れなら絶対に新美は後で。ちなみに新美は今回動線にトイレがあるので疲れてる人は新美を後の方が休み休み観れます。なので逆な言い方をすれば「終わった後断然議論したいぜ!」と思うながら森美術館を後にする感じがいいでしょう。
ちなみに保管、その他の関係もあると思いますが館内めっちゃ寒いです。上着をお忘れなく。



2;ユーモアあふれる自虐ネタを楽しもう

東南アジアに住んでますと言うと日本の方だと「(日本より)不便でしょう?」と言う人は結構多いですが声を大にして言いたい。シンガポールは東京よりめっちゃ便利です。UBERなどの安い交通網、デリバリーの充実、そして寒いくらいの室内、我慢を強いらない文化。もう日本の方が。。という感覚はマジで忘れた方がいいです。
そしてそうは言ってもユーモアに溢れまくってるのがこの東南アジア。自虐的に「ねーほらまだまだだしねー」的なことをユーモアあふれる形で表現しています。
これは同時に「もう自虐できるくらいまでになってきたぜ。今に見てなさい」的な未来への自信への表れだと思うのです。


このおいなんだこれと言いたくなるような工事用具をデザインしたインスタレーション「」。めっちゃ自虐ネタにあふれてるけど、ハッピーさ満載。


そして新美の最後のインスタレーション「黄金の亡霊「現実に呼ばれて、私は目覚めた」」は糸の山の中にあるネックレスを探す参加型インスタレーション。
ゴミの山を漁って金目のモノを探すスラム街を連想させます。でも、糸の中で寝そべってると気持ちいいんですよね。この心地よい自虐とハッピーさの融合に今の東南アジアの表現者の未来への希望と自信を感じるのです。



3;めっちゃ攻めてる「Happy and Free」




新美術館の中でとにかく親子で衝撃だったのがブー・ジェンフェン「Happy and Free」。
シンガポールやマレーシアは最初は連邦として独立をするのですが、その2年後人種的問題や政治的問題が複雑に絡み合いシンガポールはマレー連邦から追い出されます。
その後、シンガポールは捨て身の経済政策で大成功を収め、政治的立場は逆転します。しかし現在もマレーシアから水を購入しなくてはいけなかったりして、両者の関係は複雑な感情が渦巻いています。
この作品は「マレー連邦がそのまま続いてたら」を仮定してロゴマークを作ったり、連邦発足の時に流行った曲を演奏したりします。
でもこれはまさに「ありえない」こと。能天気にデザインすることで現在の複雑さを強引に気づかせるこのインスタレーションは両者の関係をある程度知ってるものからするとものすごい攻めてる感があります。



4;とは言ってもやっぱりフォトジェニックは重要よね

色々熱く語りましたがでもやっぱりフォトジェニックは重要な要素です。
へリドノやスーザン・ビクターはやはり美しい。





ちなみに日本の観客を信頼して柵などは置いてません。撮影に夢中になってぶつかったりしないように。
個人的にはズル・モハマドやアルベルト・ヨナサンの作品は本当にフォトジェニックだと思います。







5;現代を生きる日本人として東南アジアの歴史とどう向き合うか

東南アジアにおいて日本という国は「戦争」というキーワードを忘れることはできません。ちなみに私や私の家族が「日本人だから」という理由で直接的な差別を所属コミュニティで受けたことはありません(これはとても幸運だと思っています)私個人は1980年代以降は戦争の歴史を現在、未来を「認識として分けて考えることができる」人が増えてきた気がします。直接的な表現よりより詩的であったりユーモラスであったり。(もちろんそうでない人もいますけど)
日本軍の占領、そしてベトナム戦争を扱った作品も数多くあります。私が今回、心揺さぶられまくったのはバン・ニャット・リンの「誰もいない椅子」。



この髪を切るおじいさん二人ってのは北ベトナムと南ベトナムの元兵士なんですって。時代が時代だったら殺しあってたわけですよ。
そして髪を切るってことは武器を持ってるってことですよ。もしかしたら今、やろうと思えば殺せるかもしれない、でもやらない。今の時代を生きてるあんたは俺たちのこの行動をどう思うかと問いかけられてる気がします。ついちょっと前にホーチミンの統一会堂でベトナム戦争の歴史の映画を見た私にはこのおじいさんたちの思い、強く強く受け止めてしまいました。



6;まとめ





今回のこの大規模展覧会、正直シンガポールビエンナレーレクラスです。2つ展覧会を同時に観るのはちょっと大変かもしれませんがでも2つ鑑賞した後には「扉を見つけた」感を確実に感じることができると思います。

できたら何度も足を運んでほしい。
見終わった後にアジアの料理を食べながら想いを馳せてほしい。
そして東南アジアに是非遊びに来てほしい。


扉を開けてみてください。(びっくりすることも多いですけど)楽しいですよ!


今回巨大な作品群そして相手は東南アジアってことで色々間に合わなかったんでしょうね。音声ガイドも少なかったし図録は8月末にできるとのこと。
図録、すごく楽しみにしています。マジで楽しみにしてますよ!!!


注意;森美術館は無休ですが国立新美術館は火曜日休館です
会期;10月23日(月)まで
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

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