2017-03-13

Singapore Contemporary - Asia Contemporary Art Showを振り返りこれからの「ミッドキャリアフェア」の可能性を探ってみる。



アートフェアには複数のスタイルがあります。
Art Basel やArt stageのような国際的な規模で行われるアートフェア。
そしてAffodable art fairに代表されるような「誰もがちょっとした勇気で買えるフェア。

フェアというのはこのような
「ハイクラス」と「ロークラス」の二分化というのが今までも傾向でした。





そこに近年「ミッドキャリア」と言われる層が出てきました。
今回は「ミッドキャリアフェア」として去年の悪評を吹き飛ばした
Singapore Contemporary - Asia Contemporary Art Show」を
レポートしながら新しい方向性を探ってみたいと思います。


ミッドキャリアフェアとは何かというには
実際のフェアを振り返ることが一番確実です。
この「Singapore Contemporary - Asia Contemporary Art Show」は
去年、シンガポールで行われるBig Fairある
「Art Stage Singapore」のサテライトフェアとしてスタートしました。




サテライトフェアとはビックフェアと同時期に開催されるより
小規模なフェアを指します。
ビックフェアには世界中からコレクター、バイヤーが
そこでしか出逢えないアートを見つけようと訪れます。
サテライトフェアではビックフェアに来たバイヤーやコレクターを
取り込もうという目的があります。
(なのでサテライトフェアというのは「開場時間が長い」という特徴があります。)


しかし、去年の「Singapore Contemporary - Asia Contemporary Art Show」に私が訪れた際、
あまりの観客の少なさに驚きました。
Art Stageを訪れていたコレクター、バイヤーにより会場を近く感じてもらうために
「VIPカードホルダーは無料」などのオプションがあったにもかかわらず、
そこに活気を感じることはできませんでした。
私は「このフェアは来年はないな」と思い、早々に会場を後にしたのです。



そして驚かされたのは今年の「Singapore Contemporary - Asia Contemporary Art Show」は
「Art Stage Singapore」の次週に行われるというニュースです。
旧正月の前の週という日程が私にはとてもハンディになるのではと感じました。
参加ギャラリーは20カ国から90以上。去年の65から増えたことがどう出るのか。
とても興味深く出かけました



びっくり。
たくさんおる!!!!



実際のフェアは大盛況。連日(昨年に比べて)多くのお客様が訪れました。
合計でアジア全土から、22,650人の来場者がこのショーに参加しました。
その次の週、旧正月の前にこれだけの集客を達成するというのは
正直予想外でした。結果として2016年の第1回より訪問客は40%増加しました。
そこには幾つかの理由があったようです。



1;良い企画展


今回は写真の展覧会「Photo17 Singapore」と
南米のギャラリーで構成された展覧会「Latin American Voices」が開催されました。

写真に関してはシンガポールでは新しい分野であり、
アートとしての認識はもう少し先との意見もありましたが
今回非常に評価が高かった作家も多く、購買につながるケースもあったようです。
会場は常に活気に溢れていました。

そして特筆すべきなのは「Latin American Voices」。
このエリアの作品はフェア開催前から購入希望者が非常に多く
最終日まで大盛況であったことです。
ラテンアメリカという文化はシンガポールでは馴染みの薄い分野であり、
今回のフェアを訪れたコレクター、バイヤー、
そして買う予定がなかった鑑賞者の心も揺さぶりました。
それは同時に幅広い購買層に答える幅広い販売価格が
存在していたからでもあります。



2;マーケティング


今回の購買の活気を感じた特徴として中国語圏、英語圏それぞれに
情報が確実に届いているという印象を受けました。
主催者でありますMark Saundersonさんにお話を伺うと
今回はそれぞれの言語圏にダイレクトに届くマーケティングを行っていたとのこと。
確実にその効果は現れていたと感じます。

前年度誰もおらんかったからでしょという声が聞こえてきそうですが、
前年度皆無であった訪問者数を増加させることが実現できたとしたら
それは更に素晴らしい成果という気がするんです。私は。




3;あらゆる層への開放感


そして去年以上に感じたことはフェアが総ての層に開かれていること。
総ての層(ここでは購買意欲のない層も含まれる)に居場所がありました。
ツアーは合計36回、アーティストトークは12回行われました。
ツアーには子供の鑑賞ツアーもありフェア中に12回開催されました。
(大人同伴なら)2歳から参加可能という自由度の高さには驚かされました。
ドーセント経験のあるボランティアがそれぞれのギャラリーを回り、
アーティストやギャラリストが直接こどもたちにアートの面白さを解説をしてくれました。
こちらのツアーは今年度は当日参加も可能でした。



アメリカではミドルクラス層の減少が大きなムーブメントを呼び起こし
トランプ大統領を誕生させました。
しかし世界全体、特にアジアに目を向けてみると
中国、インドのミドルクラス層は急激に増加しています。
この層が持つ経済力、そして購買を刺激する出会いの場が
今まではアートマーケットに登場していませんでした。

そう、彼らはアートをどこで買うべきか、わからなかったのです。




このミッドキャリアフェアは
販売側と購買側が出会う新しい場になろうとしています。
少なくともシンガポールではその出会いの場の形成は第一段階としては
成功したのではと感じました。




こちらのフェアは香港ではAsia Contemporary Art Showとして
春と秋、コンラッドホテルで開催されています。
ホテルのフェアはまた雰囲気が違いますが確実に出会いの場を作っている感があります。
このミッドキャリアフェアについてもっと日本からも注目していくべきフェアだと思います。
自分自身も積極的に追いかけていく予定です。
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genre : 学問・文化・芸術

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