2016-07-23
MIZUMA ART GALLERY「はかないことを夢もうではないか、そうして、事物のうつくしい愚かしさについて思いめぐらそうではないか。」を観てきました。

MIZUMA ART GALLERYにて
「はかないことを夢もうではないか、そうして、事物のうつくしい愚かしさについて思いめぐらそうではないか。」
を観てきました。
このブログを訪問してくださってる方なら
皆ご存知だと思いますが私は
会田誠さんという作家が大好きです。
そしてもちろん作品も好きなのですが
会田さんの綴る文章の大ファンであります。
今回、一時帰国中に個展と聞いて思わず小躍り。
しかしOP時には東京にいないので
がっかりした反面「じっくり観れるってことやん」
と気持ちを切り替えて出かけました。

さて、今回はDMなどの事前のビジュアルと
作品がとても離れているとの事前告知があったので
気持ちを無にして出かけたのですが
最初に頂く「解説」(と言っていいのかな)で
まず心を鷲掴みされてしまいました。
実際にぜひ読んでほしいので
引用せずに簡単な紹介と私の思いを綴ります。
まず出てきた2001年の横浜トリエンナーレ。
塩田千春さん「皮膚からの記憶」の泥のかぶった大きなワンピースが
とても印象的だったのですが
私はそこで会田誠という作家に出会います。
とにかく忘れられなかったのは
自殺未遂マシーン。
当時、自殺という行動について
何度か深く考える体験があった私。
この作品を見る時に思わず凝固してしまったのですが
それと同時にこの「未遂で終える」という作品に
前向きな感覚ではなく
諦め、悟りの中から出てくる柳の間から吹く風のような行動力」を
感じたのですね。
その感覚は私にとって重くのしかかるプレッシャーを
解放してくれる
新しいものだったのです。
前向きではないけど
明日が見えてくる活力。
ものすごく新しかった。
これなら受け入れられる!と
思ったのです。
なぜ弁当箱なのか等も
解説の中には記載されているのですが
今、海外在住で日本式のお弁当に
あまり出会えない自分にとって
この形式は「簡単には手に届かない」感が満載で
とても気高く感じました。
この気高さ、そして悟り感とかすかな意地を
感じさせるこの作品群には
明日を見た!(でも超前向きって感じではない)
という会田さんの体感を共感できるような
感覚になります。
この後のインタビューなどを拝見すると
「ちょっと疲れまして」とのコメントも。
そうだよなあそうだよなあと勝手に納得してしまいました。
「だまし討ちみたいで申し訳ございません」現代美術家・会田誠さんが、いま小さなお弁当箱で伝えたいこと
解説には歴史的なこと、思い的なこと、技法的なこと
それぞれ記述がありました。
解説を何度も読みながら
作品を見返したのですが
正直2001年から随分時が経ったなあ。
父はいなくなってしまったなあとか
自分の歴史が混在してきて
感情がコントロールできず困りました。
この文章に歴史的な記述が多かったので
振り返りやすくなってしまい
作品の(誕生の)歴史と
自分の歴史が混在するという
少し今までとは違った体験もしました。
2001年の横浜トリエンナーレに
行ったことがある人で
会田誠さんを全く知らない
という人とかぜひ足をお運び頂きたいと思います。
そして
現在海外在住だから思うのかもしれませんが
「日本の簡易お弁当箱ってバリエ大過ぎ」。
こんなにたくさんあるのか。。。と
改めてびっくりしました。

会田さんはご自身で
「なんなら今までの僕のファンが総取っ替えになっても構わない」
とお話しされていましたが
いくつか、今までの絵画作品を
思わず思い出すような
本当に美しい色合いの作品があって
ああやっぱ会田さんだなあと
改めて思ったりして。
わたし自身はとても楽しめました。

この日はとても静かで
とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。
会田さんの個展のOPは本当に楽しいので
それも楽しいのですが
静かに鑑賞するというスタイルもとてもオススメです。
個人的には高円寺キタコレビルの「原爆が 落ちる前 落ちた後」展も
すごくオススメしたいです。
【From Koenji】Garter @キタコレビル「原爆が 落ちる前 落ちた後」展は必見だと外から叫んでみる
ぜひ、足をお運びください。
8月20日(土)まで、日曜・月曜・祝日休廊です。
夏季休廊:8月7日~15日
詳細はギャラリー公式ホームページをご参照ください。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術