2014-01-21

シャトー2F「有賀慎吾/ヴィヴィアン佐藤/林千歩|Orgasmic Reproduction —ざんねんな出産、しあわせな臨終—」を観てきました。


シャトー2Fにて

有賀慎吾/ヴィヴィアン佐藤/林千歩|Orgasmic Reproduction ―ざんねんな出産、しあわせな臨終―

を見てきました。



ぜひ拝見したいと思っていたのだけど
相当遠いので躊躇していたこの展覧会。
勇気を出して行ってきました。
結論ですが足を運ぶ価値がありました。
本当に行ってよかったです。



躊躇していたのは距離だけではありませんでした。
―ざんねんな出産、しあわせな臨終―というタイトルは
私にとって強烈でしたから。
それは私が出産経験者であるからであります。
ちなみに臨終経験はありません。



展示スペースはとても気持ちのいいカフェの奧にありました。
ドキドキしながらいざ会場へ。



★写真の撮影は主催者の許可を頂いております。




まず、ヴィヴィアン佐藤さん。
そこには数々の「出産」から産まれた様々な「生」がありました。
様々な出産、そして臨終。その間には様々な「生きる」がある。
ヴィヴィアン佐藤さんの展示では「ダイアン・アーバス」の作品から
様々な展開が起こります。
特に染色体を連想させる作品が深く心に突き刺さりました。
そしてダイアンは最後に自殺したことを意識すると
彼女はどのように「臨終」を迎えたのか想像が暴走していきます。

フリークスとは何なのか。
フリークスと私は何が違うのか。
私は今をどう生きているのか。
そもそも生きるって何なのか。
生きることを見られる。
生きることを認められる。
「生きる」とは誰の承認によって成立するのか。



気持ちが深くかき乱された状態で次の部屋へ。



林 千歩さんの世界。初めて観る作家さん。
彼女の世界の蛸。大きい。

大きい蛸と言えば葛飾北斎の『蛸と海女』。
大蛸って美術の世界では「性的で生命を象徴する存在」という印象があります。
しかし、この作品世界の蛸からは生命の躍動より
生命を絶たれる、臨終を強く感じます。
私たちはこの蛸の殺傷を連想される映像から目を離せなくなるのです。
落とされた指は人の形となり
立体作品として展示されています。



蛸だからそれは蛸の指じゃないのですが。
でもその指は蛸の臨終を連想させます。
生命の終焉です。



殺傷も臨終の1つ。
その時私は臨終というのは
自分で選べないものが殆どであることに気づきます。
台所で包丁の音をさせてる母親らしき人の
意味について再度考えます。



自分が母親だからかもしれないけど
母親というのは
赤ん坊→幼子→子供→成人を成長していく我が子に
前の段階を終了させる役割を担うような気がします。
つまり

「前段階の存在の臨終を見届ける執行人」

のような存在ではないかと。
映像作品の中で蛸は切断に抵抗しません。
しかし雄弁な目で刀の持ち主を見つめているように見えます。
その姿を見て私も同じ事をしてると思い知らされたような気がしました。




そして有賀慎吾さん。
前から親子で仲良くさせてもらっている作家さんです。
彼自身はとても明るくて素敵なんだけど今回の作品の世界は
私には相当強烈でした。



出産時の色々な想いをダイレクトに思い出しました。



分娩台というのは独特の傾きがあります。
経験上、あの角度は力むことに最適な角度なんだと思います。
母親の体内という
守られた世界から外に押し出すという行為は
よくよく考えてみればとても残酷です。
ずっと守れるのならそのほうがいい、そう思います。



でも母親は産み落とすわけです。
胎児という存在の臨終を見届ける役割を果たすため。
例えそれがお互いにとって不幸であったとしても。



生き物は産まれ、そして死を迎えます。
かつて文明が発達していなかった頃は
淘汰と消滅はとても自然だったはずです。
しかし現在。発達した文明により多くの命が本通りを走っています。
結果として走りながらの淘汰。そして挫折が随時起こります。


走行中の淘汰、挫折は沢山の多くの悲劇を伴います。
有賀さんの作品の世界は悲劇に喜劇的要素をミックスして
この状況から目を背けて
お気楽に女性に出産を薦めるオヤジどもに
猛烈な回し蹴りをお見舞いしているように思えます。



私の息子は出産後病気が見つかり暫くICUでした。
幸い外科手術で治る病気でした。
出産後、退院後毎日ICUに通いました。
そこには本当に沢山のドラマがありました。
沢山のベッドの沢山の物語。
それが物語だったらどれほどよかっただろうと思う気持ち、
今、改めて痛い程解ります。
その時の痛い気持ちの傷が今蘇り作品の世界の中で
私は分娩台や映像作品の物語の中にもう1つの物語を探していました。



もしかしてこれが「有機的な再生産」なのでしょうか。
すべては大きな1つの物語だとしたら
私たちはその物語にどう向き合うべきなのでしょうか。




非常に重厚なテーマを
それぞれの視点で表現していて
すごく見応えのある展示でした。

私は出産を経験してるので
鑑賞者として思い入れを強く感じ過ぎなのかな
という気もしましたが
でも私は私だからそれでいいことにします。
素晴らしかったです。
迷ってる人は絶対に行ったほうがいいです。
オススメします。
1月26日迄。



入場料 500円。ドリンク付きです。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

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