2013-07-16
「夏休み特別企画「あの方のあの時自由研究、そしてこれからの自由研究」 第十一回 関西ウォーカー編集長 玉置 泰紀 編

大好評を頂いております
「夏休み特別企画「あの方のあの時自由研究、そしてこれからの自由研究」
第十一回は関西ウォーカー編集長の玉置 泰紀さんです。
https://twitter.com/tamatama2
産経新聞神戸支局から大阪本社社会部、大阪府警本部捜査1課担当と
記者を歴任した玉置さん。
福武書店(ベネッセ)で月刊女性誌「カルディエ」編集を経て角川へ。
現代は関西ウォーカーの編集長をされています。
SNSのヘビーユーザーで
私も色々教えて頂いております。
今回は図々しくも原稿をお願いさせて頂きました。
快く引き受けて頂き
本当にありがとうございます。
この企画はいたってシンプルです。
皆さんに2つの質問をさせて頂いています。
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1:ご自身が小学生の時思い出に残っている自由研究は何ですか。
2: 今小学生の自分が目の前に現れて「自由研究のテーマを一緒に考えて」といわれたらどんなアイデアを伝えますか。
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現在活躍されてるクリエイターさんがどのような自由研究をしていたか、
そして今ならどんな自由研究をするのか。
興味深いお話が沢山聞けそうです。
では玉置 泰紀さんよろしくお願いします(^^)。
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1:ご自身が小学生の時思い出に残っている自由研究は何ですか。
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自由研究。想い出が殆どない。
昨年、初めて同窓会に参加した。中学校だ。
そして、先週の土曜日に2回目の参加。
さっそく、先生や同級生に自由研究について聞いたが
要領を得ない。全体に熱心ではなかったようだ。
恐ろしく、小学校とか幼稚園、中学校の記憶が飛んでいる。
ホテイアオイを買ったか採ってきたかして
育てた記憶や朝顔の観察記録をした記憶はある。
バカなことへのサジェスチョンやバランスの悪いおせっかいをする先生や
周囲が居れば、何か面白いことをしたかもしれない。
実家にはあると思うが、
中学校の時に、ベニヤっぽい板に源頼朝像を描いた記憶はある。
山口晃画伯にもお会いした時、その話をしたが、
描いてみたくなるオーラがあの絵にはある、と思う。
また、小学校3年の時だったか、
大阪万博があってパヴィリオンを木工で作ろうとした記憶もある。
実際、ソ連館は作り始めたような気もする。
プラモデルは常時作っていたが、
木材を買ってきて、切ったり打ったり貼ったりは、やはり長期休暇。
設計図がないものは休みでないと取り掛かる気がしなかった。
一人っ子だった事もあり、引きこもりではなかったが、
親と学校の作業をするというのもなかった。
やはり、本と映画、それも映画館はごくまれで、
U局で短く編集されたのを見まくっていた。
思えば、何かを作るというよりは
ひたすら見たり聞いたり読んだりの少年時代だった。
自由研究と言うよりは勝手研究。
一人でやってます、というものだった。
友人もそこそこいて、孤立していたわけではないが、
自分の世界と周囲がずれ過ぎていた。
内面を話し共有できる友達は大学まで待たなければならなかった。
そして、実は、思い出せないことに重要なものを感じた。
スタンド・バイ・ミーのような少年時代ではなく、
空蝉のような時間・空間だった
ことを思い出した。
古語で人間を意味しながら蝉の抜け殻も意味する。
根暗と言い換えると何か違う。
実際そう見えていなかっただろうし。
振り返ると家族との関係も反発もなく、
全くほっておかれたわけでもなく、
愛情や一体感はもちろんあったのだが、何か違う。
J.G.バラードに出てくる濃密な退屈さが
最高に残虐な展開を孕んでいるような都市郊外のイメージを
生まれ育った大阪の衛星都市にも感じる。
リンチのブルー・ベルベットに深く親近感を感じたのもそこだ。
自由研究と言う眩いテーマに浮かんだ
陰に忘れていたことを思い出したように感じる。
確かに、これが自分の原点だったと。
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2: 今小学生の自分が目の前に現れて「自由研究のテーマを一緒に考えて」といわれたらどんなアイデアを伝えますか。
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~今ならどうするか。どうしたい。
不自由研究を課す様な先生が居たら面白かったかも。
絶対にクリアしなければいけない関門を用意する。
例えば、古戦場がその町にあれば、必ず、現地調査を課す。
その町の植物を50種類以上見つけさせる。
バスの停留所をすべてクリアさせる。学年全員の似顔絵を描かせる。
無茶振り、しかし、実効性、実用性が判然としない指示。
その実行の末に、
なぜ、こういう課題を果たしたのかを
“自由に”ストーリーを書かせたい。
例えば、教科書と古戦場の実地調査の齟齬や、
植物を調べあがる中から
住んでいる街の植物相から生態系に話が進めば御の字。
何か独自の環境問題を語ればいうことはない。
バス停の地名から歴史に思いを馳せれば素晴らしい。
汗をかく、リサーチをするということから、
何かのパッケージ、思想、分析が生まれる。
立ち止まっていては、昔の僕と同じ。
まあ、そのことも悪くないとは思っているが…。
少しダークにはなりましたが、
息子と水木しげるの妖怪楽園に行くことは素晴らしい自由研究だと
親は思っています。息子は何かダークなことを考えているかも。
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玉置編集長本当にありがとうございました。
「空蝉のような時間・空間」というフレーズに
個人的に深く、深く頷いてしまいました。
ありがとうございました。
さて玉置編集長からの夏休みのお知らせは沢山あります!

7月20~21日のスニフアウトというイベントがあります。
これは大阪です。かなり楽しそうです。
詳細はこちらをご参照下さい。 → ☆
2013年7月16日(火)発売の関西ウォーカーは、夏イベント+花火!夏遊び満開号!
夏のアート特集も掲載されてるとのことです。
夏遊び徹底ガイドとのことですので
関西にお出かけ予定の方はどうぞお手にとってご覧下さい。
詳細はこちらをご参照下さい。 →★
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術