2013-05-30
「夏休み特別企画「あの方のあの時自由研究、そしてこれからの自由研究」第一回 椿昇編

「夏休み特別企画「あの方のあの時自由研究、そしてこれからの自由研究」
さっそく第一回です。
初回にご登場頂くのは椿昇先生。
先生のプロフィールはこちらをご参照下さい。
写真は以前川崎の個展でご一緒した時の写真。
息子がちっちゃーーーーい!
この企画はいたってシンプルです。
皆さんに2つの質問をさせて頂いています。
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1:ご自身が小学生の時思い出に残っている自由研究は何ですか。
2: 今小学生の自分が目の前に現れて「自由研究のテーマを一緒に考えて」といわれたらどんなアイデアを伝えますか。
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現在活躍されてるクリエイターさんがどのような自由研究をしていたか、
そして今ならどんな自由研究をするのか。
興味深いお話が沢山聞けそうです。
では椿先生よろしくお願いします!
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1:ご自身が小学生の時思い出に残っている自由研究は何ですか。
僕の年齢になると小学校ははるか彼方なのですよね(笑)
でも、昨日日経新聞の「巣立ちの教室」というコーナーで取材を受けた時に、
一番強く思い出したのは小学校5年と6年に担任していただいた
T先生と過ごした2年間のことでした。
彼は江田島の海軍兵学校の出身で特攻機に乗るはずだったのですが、
すんでのところで終戦に救われ小学校の教員になったのです。
みなさんは軍隊とか特攻というととても危険なイメージを持たれるとおもいますが、
その当時の江田島兵学校の教育は極めて国際的でリベラルだったのです。
彼は僕達にアルキメデスやソクラテスのことを教え、
算数はユークリッド幾何を教えました。
また音楽はブラスバンドを組織して彼自らが演奏を教え、
夜中遅くまで棟方志功ばりの巨大な板画制作を指導しました。
そのテーマがなぜ選ばれたのかは今となって知るよしもありませんが「朝鮮の市場」でした。
おばあさんがキムチの店の番をしている光景でした。
折りにふれ独自に彼が選んだ教育を受けるうちに、知的好奇心に目覚めた僕たちは、
朝から自主的に世界地理の勉強会を開催したり、
幾何学の難問に挑戦したりして楽しみました。
小学生なのに風采の上がらず病弱で成績もパッとしない僕が、
この二年で学ぶことの悦びに目覚めました。
地元の中学に進学したとき、いきなり学級委員長に指名されて
T先生のクラスでいつのまにか
俗にいう偏差値的な何かもハイレベルになっていたことを知りました。
朝から晩まで先生の教科書の無い自由研究に付き合わされた経験が、
アーティストになった今の僕を支えていますね。
2: 今小学生の自分が目の前に現れて「自由研究のテーマを一緒に考えて」といわれたらどんなアイデアを伝えますか。
まずは真面目にギリシャ神話や、世界の思想や歴史をともに学ぼうと言いますね。
僕の経験では「自由」になれるのはまだまだ先の話で、
子供の頃は世界がどのように成り立っているのかを
「137億年の物語」という名著とともに紐解くのが良いのではないでしょうか。
いずれにしても親子で遠い話をゆっくり話しあうのが素敵です。
知性の種がゆっくりゆっくり育って、
一生学ぶことが楽しくて仕方ない人間に成長すると思います。
短絡的でトンチのような「アイデア」という言葉が僕は嫌いですし、
塾で機械的に問題に「反応」する速度だけアップさせても
根源的な思考力やダイナミックな構想力は育つはずもありません。
夏休みこそ、子育て中の母さんや父さんが面白い物語を毎日考えて
子供に話して聴かせることをオススメします。
ネズミーランドや作り物のファンタジーではなく。
オリジナルの不可思議なお話を毎夜聴かせてあげれば、
気がつけばその子の人生は豊かになっているでしょう。
ターセム監督の「ザ・フォール/落下の王国」(DVDあり)のような
大人と子供の夢の関係を願っています。
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ありがとうございました!
子供はもっと創造性をって大人が言うなら
大人が率先して創造性を示さないけません。
納得です。
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DVD私もぜひ拝見したいと思います。
椿先生の夏のイベントといえば瀬戸内国際芸術祭です。
3年前の開催時にもとても楽しく体験させて頂きました。
瀬戸内国際芸術祭についての記事まとめ。
すごく楽しかったんですよ。家族連れすごくオススメですよ。
綺麗な星を観ながら子供に自分の作ったおかしな話とか
是非聞かせてあげたら超素敵だと思いますよ!
椿先生が参加されている「小豆島 醤の郷 + 坂手港プロジェクト」の
公式ホームページでは
下記の一文をがとても印象に残りました。
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「小豆島 醤の郷 + 坂手港プロジェクト」は
小豆島に残る先人たちの遺産に、
真の豊かさへのヒントがあると信じ、
アート・デザインの分野からコミュニティの再生を模索します。
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島にただ鑑賞に行くのではなく
その島にあったものを大切にして
そしてそこで新しい創造を共に産み出して
島の中でのコミュニティ
島の中と外とのコミュニティ
が発生、再生、そして発展していく様を
ぜひ自分の目で体験、体感して頂きたいと思います。
ぜひ足をお運び下さい。
私たちもぜひ訪れたいと思います。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術