2012-06-25
森美術館「アラブ・エキスプレス展」を観てきました。

森美術館にて
「アラブ・エキスプレス展」
を観てきました。
今、文化と自己主張にすごく興味があります。
最近自分の国、地域以外の文化に触れる機会が増えてきたからかもしれません。
森美術館では
「チャロー・インディア:インド美術の新時代」2008年
「フォロー・ミー!:新しい世紀の中国現代美術」2005年
と紹介してきたわけですが
今度はアラブですね!って感じです。
息子はインド現代美術は好きではなかったと記載されてますね(^^;)
ちなみに私は両方鑑賞してます。「「フォロー・ミー!」は素晴らしかったです。
息子もアラブ現代美術に興味津々。
そして息子は6歳で東京在住の割にはとても異文化に触れる機会を
持っていると思います。環境と関わって下さる皆様に感謝です。
サッカー好きというのも関係してるかもしれませんね。
アジアカップ、アジア最終予選。そして欧州サッカー界で活躍するアラブ出身の選手達。
知らない訳じゃないけど、殆ど知らない国。
今回は親子ともども期待MAXで出かけました。
そして行って初めて知ったのですが
こちらの展覧会写真撮影可能です!
なので今回掲載写真はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスです。
今回は3つのカテゴリーに分かれています。
セクション1:日々の生活と環境

リーム・アル・ガイス
《ドバイ:その地には何が残されているのか?》
2008/11年
私たちが勝手に想像する「アラブ」というキーワードと
実際の違いや思い込みに対する指摘等をテーマにした作品が並びます。
こういう思い込みって実際に行くとまた違うんでしょうね。
息子はいくつもの作品に国境が扱われていることを
とても不思議がっていました。
息子はドイツとオーストリアの国境を超えたことがあるのですが
とても簡単に超えられるんですよね。
(ドイツ人の友人が一緒だったからかもしれませんが)
彼にとて国境は標識の赤信号的な感じだったと思います。
だから「国境」というものがどうしてこんなにテーマになるの?ととても不思議そうでした。
そこで他の作品にて「国境を巡って国の偉い人同士が喧嘩していたのよ」と説明。
「どうして喧嘩するの?」と聞いてきたのでこんな風に答えてみました。
この土地にはね、石油というみんなが欲しがるエネルギーの元があるの。
これがないと何も動かせない。だからみんな欲しい。
そこで石油を自分のものにするために国と国の偉い人達が喧嘩を始めたのよ。
「そうなんだ。。喧嘩してたんだ。。。」
と言いながら作品の中に描かれた人の姿をじっと観ていました。
セクション2:「アラブ」というイメージ - 外からの視線、内からの声

マハ・ムスタファ
《ブラック・ファウンテン》
2008年-
そして次のセクションではイメージの具体化となります。
特に息子が目が話せなかったのは石油をイメージした作品。
これなあに!と聞かれたので
「石油をイメージしてるんじゃないかな。みんなこれが欲しくて喧嘩をするのよ」
というと先程の「国と国の【偉い人】が喧嘩」が具体化したようで
じっと観ていました。その間ずっと聞こえるしぶき音。
とても深い時間でした。
セクション3:記憶と記録、歴史と未来

アーデル・アービディーン
《アイム・ソーリー》
2008年
そして戦いの現実と向き合って暮らしていく現実を実感します。
印象深かったのは《アイム・ソーリー》と描かれたネオンの作品。
英語を覚え始めた息子は「I'm sorry」が理解出来ます。
「どうしてごめんなさいなの?」
この作家さんはイラク出身なんだって。
(息子はサッカーが好きなのでイラクという国がアラブにあると理解しています)
イラクはアメリカと喧嘩をしていたのよ。そこでアメリカに住んでいた時に
「ふるさとはイラクです」って話すと沢山のアメリカの人に
「I'm sorry」って言われたんですって。
「何もしてないのに「ごめんなさい」なの?」
その人はその人なのにその人のふるさとがどこかってことで
何もしてないのに「ごめんね」って言われるの?
なんかごちゃごちゃした感じ。
そうね、なんかとてもごちゃごちゃした気持ちになるわね。
私たちはまだまだ中東の歴史を詳しく正しく理解していないと思います。
特に私は息子にちゃんと説明出来たのか、このブログを書いている今でも不安な気持ちになります。
ただ、このように人々には
「その人が育った土地の歴史」
「その人に関わる人、その人個人の考え方」←思想って言葉でまとめていいのか決めかねてる
そして
「上二つに満たされてないかけがえのない個人そのもの」
がそれぞれあって
そして皆それぞれの関係に試行錯誤してるんだな
という気持ちに気づけてよかったです。
最後に希望を。

エブティサーム・アブドゥルアジーズ
《リ・マッピング》
この地図は現状の文化度、そして芸術の反映度を表しているんだそうです。
暗闇の中で光り輝く立体地図の灯りは希望を与えてくれました。
「戦い」や「争い」「死」を連想させる作品がとても多かったので
とても体力を使う展覧会でしたが
すごく深い体験が出来る場所であったと思います。
とても、とても見応えのある展覧会でした。
そして世界情勢について深く考えさせられる展覧会でした。
また伺いたいと思います。
息子は本当に一生懸命観てくれました。
そして沢山考えてくれました。
世界は広い。小さくまとまってちゃいけないよ。
★一部過激な表現の作品もあります。
親子で鑑賞する際はまず大人が確認してどう見せるか判断することをお薦めします。
10月28日まで。無休です。
オススメします。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術