2018-11-27
ILHAM gallery「The Two Mountains Photography Project 3.0」 を観てきました。

ILHAM gallery「The Two Mountains Photography Project 3.0」 を観てきました。
写真というのは心が不安定な時、とても惹かれる芸術です。
なぜなら写真は誰でもカメラがあればできる可能性があるけど
その芸術作品を作り上げるのは
とても時間と感性とそして人間性が現れるからです。
最近ちょっと調子が悪いので
新しいこの写真の展覧会を見たくて
足を運びました。
KLEE, INC PARIS TOKYOのディレクターの太田菜穂子氏と
マレーシア人でKuala Lumpur International Photoawardsのディレクターであり
現在はロンドンに拠点があるSteven Lee氏が中心となった
共同プロジェクトのようです。
というか
こういう活動って探せば本当にたくさんやってるんですなあ。
ほんと、歩いて探せばたくさんあるものですね。




富士山とサバ州のキナバル山について
マレーシアと日本出身の写真家3名づつが
それぞれの観点で
住む人々や地域社会を焦点を
表現しています。
山ってとっても不思議ですよね。
その場所を訪れた人と、
その場所に生まれ育った人だと
山に対する思いが違う。
吉本ばななさんのエッセイ
「人生の旅をゆく」に印象的な一節があったので
引用します。
「ピラミッドがみている」というエッセイより
————
前に富士山のふもとで育った人に「毎日きれいな富士山を間近に見ていたなんてうらやましい」と言ったら「冗談じゃない。怖かった」と言われてびっくりした。子供心にはそれは「もしあれが噴火したらどうしよう」という形をとっていたが、体育の授業のときにふと校庭で振り返るとそこにでっかい富士山がそびえたっていて、それはとにかく美しさというより理屈抜きにこわかった、とその人は言った。そのこわさは「畏れ(おそれ)」という字の意味を持っていたのだろうと思う。
————
同じ山でも印象がここまで違うとは、という気持ちを気づかせてくれる文章です。
私の子供時代、東海大地震が来ると言って富士山が噴火して日本終了などの
文章を読んで恐怖で眠れなくなった経験があります。
そして阪神淡路大震災のニュースを聞き、東日本大震災を経験して
恐怖を先に体験し「本当に富士山が噴火したらどうしよう」と
考えが止まらず震えて眠ったことを、そしてそういう体験が
それほど昔でないことを思い出しました。
マレーシアの写真家が見た富士山と
私が見た富士山は
同じだけど違うんでしょうね。
強い生命力を感じる写真が多いと同時に
この生命力は今も、
これからも維持されるのだろうかと
想いが勝手に巡っていく様を体験し
これが「山の力」なのかなとも感じました。
その場に行って
その瞬間を待って
初めて作品化された「この瞬間」に
出会えたことに感謝したいと思います。
強い生命力や人間ではどうにもできないような
強い力を感じさせる場は写真でしかできない表現ができますね。
マレーシアやインドネシアは
優れた写真家がもうすぐ登場するのではないかな・・・と
ワクワクしています。
2019年1月27日まで。
基本日曜、月曜休館ですが年末年始が入るので
詳細は公式WEBサイトをご参照ください。
スポンサーサイト
theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術