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2017-11-28

Aloft at Hermès「Noriko Ambe 「(Un)filtered Reflections」」を観てきました。

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Aloft at Hermèsにて

「Noriko Ambe 「(Un)filtered Reflections」」

を観てきました。


私は子供の時から学校が嫌いでした。
どうして学校が楽しいか全くわかりませんでした。

教師が生徒に一方的に話し、
生徒が同じことを同じように行っていく。
それを守れるのが学校での「いい子」。


私には私のやり方がある!
いつもそういたかったけど
そんなことを言う勇気すらありませんでした。
教科書の隅に「死ねばいいのに」と書くのが精一杯。
誰がを書く勇気すらない。
本当にどうしようもない子供でした。


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私は学校という閉じられた世界のコミュニケーションがとても怖かった。
そしてそこで純粋に学ぶ行為の相棒であるはずの「教科書」が
自分に友好的でないことも納得できませんでした。
これは簡単にいうと「自分に理解力が足りなかった」だけかもしれません。
でもどうしても読んでても楽しくなかった。
同時期に読んだ図書館の本や親の本棚から見つけた本はとても面白かったから
尚更納得できませんでした。


自分の不出来な点を差し引いても
私は声を大にして言いたかった。


私をここに閉じ込めないでよ。


言う勇気もなかったけど。


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今回の展覧会の作家である安部典子さんは
ニューヨークを拠点に活動しておられる
紙で造形を行うアーティストさん。
その規模がとても小さい作品から
果てしないほどに大きい作品まで
表現は多岐にわたります。

日産アートアワード第一回のファイナリスト
でもありBANK ARTで拝見した作品は


「作品がそこに存在してる意味」を
鑑賞者自らが能動的に考え、そこから
造形に対する自己との対話が始まる


想像の海に誘ってくれるような作品世界でした。



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彼女が今回「教科書」を作品に使用すると伺った際、
私自身は最初、当時自分が感じていたどうしようもない破壊願望の
代行者を担ってくれるのかと思い
とても楽しみな反面すごく心配になりました。
当時生徒であった自分が感じた
「どうせ解ってくれない」憤りが
作家さん本人に向かってしまたったら
どうしようかと。



その心配は無用でした。安部さんは生徒たちをとても尊重した
リサーチを行なってくれたからです。
アンケートの事前サンプルとして
息子が協力させて頂きました。
(小学生1年だけだけど)日本のカリキュラムと
インターナショナルスクールのカリキュラム

両方を知る息子なら
シンガポールの生徒さん、日本の生徒さん両方の感覚が
より近く感じれるのではないかと言うことで
サンプルに選んで頂きました。


このアンケートは心理的なリサーチなどもあって
私たちは完璧に理解できなかったかもしれないです。
息子はとても楽しんで書いたようです。
書き終わったあと息子に


「あなたにとって本と教科書ってどこが違うの?」


と聞いてみると


「教科書は学校で先生や他の生徒と一緒に読むもの、本は自分のペースで好きに読むもの」


との答えが。
おおおおお私はそこがムカついていたんだようううううううと
思わず叫びそうになりましたが
現在息子はインターナショナルスクールのカリキュラムで
相互で学ぶシステムに全力で取り組んでいます。
ちなみにインターナショナルスクールは
日本のような教科書はありません。

ああよかったなあとおもうと同時に
日本のシステムもちゃんと知った上で
取り組んでるから
このひとの世界はどんどん広がっているんだなあ
羨ましいなあと思いました。


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学生さんを対象としたワークショップは
日本とシンガポール、双方で行われました。
私はシンガポールでのワークショップを
お手伝いさせて頂きました。


ワークショップは2回行われたんですが
1回目と2回目の学生さんの姿勢の違いなどが
とても興味深かった。
特に2回目は「雑誌を切る」と言う行為だったので
他人が完成させた世界(本)を再作成させる行為に
どのように生徒が自主的に取り組んでいくか。
その過程はとても興味深かったです。



この展覧会は大きく分けて2部構成となっています。
1つは生徒たちから「これで作品を作ってほしい」と言う
リクエストに答えて安部さん自身が作った作品群。

もう1つは生徒さんからのリクエストにおいて
安部さんがそのリクエストをうけとめ、安部さんの表現で
リクエストに答える作品群です。


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例えば。「教科書を燃やしてほしい」と言うリクエストには
私は正直に泣きそうになりました。
「死ねばいいのに」って教科書に書いたけど
でも誰がって書く勇気もない、そもそも誰が死んでほしいのかも
わからないけどなんだか苛立ってしょうがないと言う
自分の気持ちを思い出して泣きました。

あの時、この私のどうしようもない憤りを
聞いてくれる「自分の生きてる世界とは別の世界の人」がいて
その人がその憤りを自分の解釈で「表現」してくれたら。
私はどれだけ救われただろう。
こんな極上の救済ってなかなかないのではないか。
このリクエストをしてくれた子、嬉しかっただろうな。。。


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そして目が離せなかったのが道徳の教科書を使った作品。
そもそも人との関係性を上手に構築できなかった私は
道徳の授業が大嫌いでした。

教科書に書かれた人との交流の仕方に正解があって、
それを道徳という科目の中でなぜ一斉に学ばなきゃいけないのか
全くわかりませんでした。
そこで聞かされる「大人が決めたルール」に従わないと
お前は生きていけないんだぞ!と脅かされるような感覚。
あの感覚が苦しくてたまらなかった道徳の時間。
そん道徳の教科書に遮られた鏡に映らない自分。
考えされられることが多かったです。


この苦しさ、わかるのかな。。。?と思い
シンガポール人の友人に


「道徳っていう科目があってね。。。」


と説明したら


なにそれ人との決められたルールを学ばせるなんてありえない!


と呆れられました。
そうですよね。道徳の授業ってきっと日本独特ですよね。。


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そして題材のリクエストに安部さんが答えるエリアでは
アジア各国の歴史教科書が作品に使われています。
「歴史教科書を使って作品を作ってほしい」というのは
シンガポールの学生さんのリクエストだそうです。
これは日本の学生にはあまりピンとこないかもしれない。


1つの展覧会、それぞれの立場において
感じ方が違いが共存しているんです。
そしてここは1つの展覧会だから
その違いを純粋に受け入れられる。



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本来、人と人との関係もこうあるべきだったのに。
最近、なんだか人の思いの違いを純粋に違いと
認められない人が増えてきた気がします。
これからどうなってしまうんだろう。



この展覧会は来年の2月まで開催しています。
開催期間中、大学の歴史の先生のトークなども行われる予定だそうです。


滞在している方も、ご旅行の方もぜひ観てほしい。
特に日本式教育を受けたことがある方にぜひ観てほしい。


日本式教育カリキュラムに憤っていた人はあの時の自分の思いが
日本式教育カリキュラムが受け入れることができた人はいつも怒っていたクラスメイトの気持ちが
日本式教育カリキュラムを子供に受けさせて想うことがある人は子供の考えが


少しだけクリアになるのではと思います。
今までより少しだけ鮮明に見えた時
自分が気づけなかったことに気づける展覧会です。


そこに正解、不正解は必要ありません。


「見えていない、見ようとしていない」
ここが向き合わなくてはいけないことだから。


私も行けるかぎり足を運ばせて頂こうと思います。


来年2月11日まで開催です。
無休です。基本ドレスコードなしですが
エルメス路面店の4階なので
あまりスポーティーすぎる格好でない方がいいと思います。
ぜひ、足をお運びください。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

2017-11-20

Public Lecture by The Honorable Yuriko Koike on Pursuing Sustainability: Environmental and Financial Leadership in Tokyo(小池百合子東京都知事講演会:シンガポール国立大リー・クアンユー公共政策大学院)を拝聴してきました。

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Lee Kuan Yew School of Public Policy(シンガポール国立大リー・クアンユー公共政策大学院)にて



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Public Lecture by The Honorable Yuriko Koike on Pursuing Sustainability: Environmental and Financial Leadership in Tokyo(小池百合子東京都知事講演会)を拝聴してきました。


シンガポールという国のすごいところは
このような要人の講演会の会長機会が
一般人にも開かれていることです。
(日本だったら無理ですよね)
素晴らしい機会を頂くことができとてもありがたいです。


実はこの大学院。息子のトライアスロンクラブの練習場のすぐ隣。
なので以前から場所を知ってました。
そしてちょうど雨と予想があったので
早めに来訪。とても気持ちよく入れて頂きました。
(日本が絡むと公式報道関係者以外は。。と事前手続きしていても
嫌がられる場合もあるのでこれは嬉しかった)


予想通り開演30分ほど前から豪雨。
早めに来た顔見知りの方々(殆どの方は公用車、裏山!)と
安堵の笑顔で待機。


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時間通りに小池さん登場。
東京オリンピックのロゴをイメージしたスカーフが気になります。
大学院の学長さんの紹介で講演スタート。



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東京が取り組んでいく国際的な取り組みを
数々紹介していくのですが
私東京都民だったんですが
全く知らんという項目も数多くあり
ああそういうものなのかなあと
考えさせられました。



ちなみに東京オリンピックでのメダルプロジェクト。
こちらは使用済携帯電話を再利用してメダルを作るとのことだったんですが

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「リー首相からFDケースに入れた使用済携帯もらいましたー」

と見せて頂いたのケースを見て


そういえばリー首相ってギーグだったから
FDケース異常に持ってたのかもなあ
Windowsのアップデートとかで
途中で止まってブチ切れたりとかしてたのかなとか
色々想像してたらなんだか目頭が熱くなりました。


シンガポール首相、自作のプログラミングコードをFacebookで公開


英語で聞く「東京ビジョン」はとても美しかったです。
日本語が出来るシンガポールの人は「日本語報道のシンガポール」を
こんな気持ちで読んでるのかなと感じました。


批判ではなく、言葉を変えると感じ方が違うという感じでしょうか。
この「違い」を感じることこそが
もしかしたら一番大事なのではないかなと感じました。


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この講演会、とても時間が短かったんですね。
講演+フォトセッション+質疑応答(3人)でトータル30分。
お忙しいのでしょうね。お疲れ様でした。

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