2016-09-29
東京都庭園美術館「クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち」を観てきました。

東京都庭園美術館にて
「クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち」
を観てきました。
一時帰国の際にどうしても見たかった展覧会の1つ。
これがボルタンスキーでした。
父との別れを通じて「死」を考えることが極端に増えたから。
初めてボルタンスキーの作品で心鷲掴み状態だったのは
豊島でした。

個展を拝見するのは初めて。
今回は母にも一緒に来てもらいました。
目黒駅から歩きながら
同時開催のポスターに
正直「えええ」と思っていたのですが
実際に美術館に入って
自分の愚かさを呪いました。
旧館の展示には数々の「しかけ」があります。
もうここにはいない、でも確かに存在した人の気配があります。
その気配の連鎖で鑑賞者は自分の身の回りの
「もういない人」に思いを馳せます。
私は一気に世界に引き込まれ
涙が止まらなくなりました。
そこには確かに父がいました。わかりました。
気配を感じた経験をしたばかりだったから。
今年の夏休み、帰省した日、私たちは家族全員で
母が一人で住む実家に泊まりました。
普段は母子で泊まるのですがその時は旦那も一緒に
3人でお世話になったので
布団の数の関係上、私は父が老人ホームに入る前日まで使っていた
ベッドで寝ました。
次の日は旦那の実家に行くことになっていて
早く起きなくてはいけませんでした。
私は起きれるかなあと思いながら寝たのですが
午前6時くらいに肩を強めに叩かれて
「時間だから!」
という声で起きました。
えええええお父さん?
確かに、私は起こしてもらったんですよ。
でも気配しかなかったけど。
あの時感じた「気配」が
旧館全体に展開されていました。
母も強がってましたが
涙ぐんでいたと思います。
新館の展示は平日ということもあり
人影もすくなく
私たちは作品を全身で感じながら
想いを話すことができました。
母にとっては夫
私にとっては父
息子にとっては祖父
であるひとりの男性についての
思い出を語り合う場として
この場以上にふさわしい場所があったでしょうか。
きっとなかったと思います。
本当に行ってよかったです。
そしていつの日か
母も私もこの世を去った後
息子がその時一番大事にしている人と
ボルタンスキーの作品で語り合う時に
今日、この時を思い出してくれたら
こんなに嬉しいことはありません。

カフェも、とても美味しかったです。
父も喜んでくれたと思います。
ボルタンスキーさんは
来年以降大きな展覧会が続くそうです。
その際は
この庭園美術館の展覧会が
とても重要な役割を果たすと
感じました。
行くべきと感じた場所には行くべきなんですよね。
自分のためにも
自分の大事な人のためにも。
休館日:毎月第2・第4水曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
月曜日ではありません。お気をつけください。
情報の詳細は公式ホームページをご確認ください。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術