2014-05-31
森美術館「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」プレス内覧会に参加してきました。

こちらは展覧会終了後にある「えほんのとしょかん」。
今回は子供の鑑賞者には「キッズ・ワークシート」があります。
詳細は公式ホームページ「最新ニュース」をご参照下さい。
森美術館にて
「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」
プレス内覧会に参加してきました。
森美術館人気企画「おやこでアート」最多参加記録を保持する息子さん。
今回「森美術館でおこなうこどもをテーマにした展覧会」ということで
特別にプレス内覧会にお邪魔させて頂きました。
森美術館といえば。
会田誠展「天才でごめんなさい」を始めとした
非常にとんがった感性の展覧会を勇気を持って主催する
美術館であります。
そんな美術館が扱う「こども」。
一体どんな展覧会なんだろう?と
とても興味を持って出かけました。
今回の展覧会は各国の優れたアーティスト26組
の新旧作を織り交ぜた展覧会とのこと。
こどものイメージを通したさまざまな表現を通じて
政治、文化、家族を考えようという試みでした。
総括的には私はとっても好きな世界が多かったです。
なぜなら大人が勝手に描く子供らしさをぶちこわしてくれるような
作品がとても多かったから。
今回は子供の残酷さや過酷さに焦点をあてた作品が
多くすごく共感を感じました。
今の子供って大人が思ってる以上に残酷であり過酷だと思うからです。
この「子供の残酷さ」を身をもって知ってる人で
その残酷さに目を向けられる人には
年齢問わずすごく見応えある展覧会だと思います。
小さい時の悲しい思い出とか言われて嫌な事、
辛かった事をふっと思い出すような感覚が
何度も訪れると思います。
構成としては最後の部分で
「山本高之《どんなじごくへいくのかな、東京》」
を持ってくることで現実に戻すというか、
鑑賞者側の思う「こども像」を投影して
気持ちを軟着陸させようとしたのかなと感じました。
私自身は優等生的なまとまりを過度に感じました。
息子に「もっと自由に作ったらいいのにね、どう思う?」と聞くと
「大人は自由に作ると大体ダメってやらせてくれないじゃん」
との猛烈なつっこみが。
思わずはっとさせられる。
「大人は子供は自由にって言うけど
大人の気に入る自由は自由じゃない」
という現場からの卒直な意見を聞いた上で
実作品を見ると胸が痛くなりました。

ただ、そんな混乱を吹き飛ばしてくれるのが
「サンテリ・トゥオリ《赤いTシャツ》」。
パーティーでお話させて頂きましたが
とっても素敵な人でした。
私の爆裂英語にお付き合いして下さり
本当にありがとうございました。
この映像作品を見て笑顔にならない人はいないはず。
赤いシャツの彼、必見です。
彼の存在は
先程の思い出した嫌悪感や展覧会を通じての違和感も含めて、
自分はかつて子供であったのだ、
今抱えてる違和感も嫌悪感も悲しみも
いつか終わりそして再び出会うだろう
そうやって自分は生きてきたのだ。
(明日はどうなるかわからないけど)
というすごく崇高な気持ちを鑑賞者に与えてくれると思います。
この展覧会はきっと数々の人が先入観と共に入り、
そして数々の違和感を感じて出て行くことになるでしょう。
美術というのはそもそも混乱がセットであるべきだし
現実世界はそもそも違和感に満ちているものです。
私はそれはうけいれるべきだと思います。
だってそこに生きてる訳だし。ただ個人的に感じたのは
「こども」というタイトルと
「森美術館」というロケーションと
「夏休み」という時期を考えると
何か気づきのきっかけのガイド的なもの
があってもいいかもと感じました。
「夏休み」で「こども」なので
自由研究に何かつかえる?と思うご父兄の方の期待を
猛烈に裏切る内容です。
でも
自分の子供時代の悲しい思い出を思い出し
むしゃくしゃした自分を思い出し
自分の子供の失敗に寛容になるきっかけを与えてくれる
そんな展覧会でもあります。
宿題目的以外で、是非足をお運び下さい。
8月31日(日)迄。
今回は巡回があります。
名古屋市美術館:2014年11月8日(土)-12月23日(火)
沖縄県立博物館・美術館:2015年1月16日(金)-3月15日(日)
高知県立美術館:2015年4月5日(日)-6月7日(日)
theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術