2011-06-09
東京都近代美術館「パウル・クレー - おわらないアトリエ」を観てきました。

東京都近代美術館にて
「パウル・クレー - おわらないアトリエ」
を観てきました。
パウル・クレーは好きな作家さんではありますが
作家さんそのものの人生や表現方法の変化等は全く知りませんでした。
ぼんやりと色彩の海に身を委ねて思考整理なんて素敵よねという気分で。
息子の登園中の鑑賞は館内ではのんびり出来るのですが
移動がいつもダッシュすぎてしまい正直笑えます。。。
今回の展示構成はこんな感じでした。
プロローグ:自画像
1:現在/進行形 - アトリエの中の作品たち
2:プロセス1 写して/塗って/写して - 油彩転写の作品
3:プロセス2 切って/回して/貼って - 切断・再構成の作品
4:プロセス3 切って/分けて/貼って - 切断・分離の作品
5:プロセス4 おもて/うら/おもて - 両面の作品
6:過去/進行形 - 特別クラスの作品たち
今回の展覧会は動線が細めで入り組んでいます。
この点はかなり注意をしておきたいです。
家族連れの人は子供の動きにいつもより注意を多めな感じで。
まずアトリエの写真と共に
そのアトリエで作り出された作品を鑑賞していきます。
写真をみながら作品を確認という作業が出来るので
過去と現在、こことあちらという感じで
時間や空間をいったりきたりを楽しみます。
私自身は今とてもドイツに興味があるので
ミュンヘンの作品がとても気になりました。
その時の町並みの写真とかも見たかったな。
そしてそのアトリエの中で展開された
数々の実験を次の展示室でより深く掘り下げていきます。
それがプロセスの展開です。
プロセスには数字がふってありますが
数字通りに動線を辿るのが少し難しかったかな。
混雑時には少し注意したいです。
でもこの迷路みたいな感覚も楽しかったです。
ここで鑑賞の際にとても助けて頂いたのが「動画」でした。
今回の展示は1つ1つの作品を間近で拝見出来る嬉しさはもちろんですが
表現方法の変化や分析の解説をとても興味深く見ることが出来ました。
こちらとても短い動画でまとまっているのがとてもいいです。
プロセスの中でとても印象に残ったのは「切断」でした。
絵画作品においての切断は「破壊の完成」であります。
そして鑑賞者に「破壊」を認知させ
その新しい世界で更なる成長を促すとても神的な視線を感じます。
破壊された新しい世界。
まさに今の日本の日常を連想させました。
展示室全体に感じるのは「自己肯定した寂しさ」でした。
作品は綺麗だし暖かいのだけどでもなんかきゅんとする寂しさを強く感じました。
一度完成された作品を解体して展開するという
「世界の構築」と「世界の破壊」を同じ人が行っているからかな。
永遠に完成されない満たされない世界。
まあ世の中ってそんなものですよね。
1つの表現をいくつもに展開されるというのは
人の心の変化を連想させます。
その変化を作品として完成すえうことができるということは
「人の心の移り変わり」の認証を求めてるようなむなしさも同時に感じました。。
その虚構感は最後のブースの「アトリエの再現」
でほぼ完成されます。
この中には映像が流されていますが作品は何もありません。
なんだかとてもぽっかりとかした気持ちになります。
このなんともいえない寂しさとともに展示を終えるというのは
とてもクレー的で私は好きです。
誰かと行ったら帰り道その人の手を繋ぎたくなるような気持ちになります。
そういう点ではデート向きかもしれません。
いつも以上に展示室が寒かったです。
これから外気がどんどん上がっていくので展示室との気温差が激しくなりそう。
羽織もの持参をオススメ致します。
7月31日まで。
原則月曜休館です。詳細は公式ホームページをご確認ください。
個人的にとても悲しかったこと。
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術