fc2ブログ

2010-12-20

大阪・心斎橋Six「宮島達男個展『Time Train』」を観てきました。

IMG_8485_convert_20101220124522.jpg
大阪・心斎橋Sixにて

「宮島達男個展『Time Train』」

を観てきました。



よくよく考えてみると宮島さんの作品は
私たち親子はとてもよく遭遇しています。
六本木の巨大デジタルカウンターの前は何度も通ってるし
直島の家プロジェクトも楽しむことが出来ました。

そしてBLDギャラリーでの個展では
宮島先生ご本人からサプライズを頂く機会にも遭遇できました。

BLD GALLERY「宮島達男 その人と思想」を観てきました。


なので宮島達男氏の展示はいつもチェックしてるし
twitterも拝読しています。
twitterを拝読してるとなんか涙が出そうになる時も。

アートのことで自分を卑下し苛み責める。若いときはありがちだけど、そんなに責めたら病気になる。アートは自由になるため、笑顔になるためにあるのに。振り回されるのはいけない。アートのために君がいるのではない。君がいるからアートがあるのだから。


私もこういうつぶやきが出来る大人になりたいです。





4歳の男の子は皆電車が大好きなものです。
そしてギャラリーも好きなものです。←ここうちだけですね
それならやはり行かなくては!ということで
大阪・心斎橋Sixに毎年恒例の京都旅行と組み合わせて出かけることにしました。



さていざ会場に入ってみると第一印象は

「線路が高い」

でした。

視線よりかなり高い場所に線路は展示されています。
身長162センチの私でも見上げるような感じで線路を走る列車を眺めます。
そして台車に積まれたデジタルカウンターは窮屈な感じに積み上げられています。
数台ある荷台には扉が閉まっているものもあり
隙間からデジタルカウンターが見えています。

テーマはアウシュビッツ。
駅の無い列車はユダヤ人が運ばれていく様を表しているとのこと。
ずっと見ているととても自分が無防備に見つめていることに気づきます。

それにしても線路が「高い」。

以前拝見したインタビュー等でみたドイツの展示の写真では
高さを感じられなかったのでとても意外な印象を受けました。スタッフさんに
「ドイツ人ってもしかしてすごく背が高いのですか?」とアホな質問をしてしまったほど。
すると「この高さはドイツとは違うそうです」とのお返事が。


ぼーっと考えていると以前観た別の電車の展示を思い出しました。


電車の展示で今年とにかく感銘を受けたのが
ICCのクワクボリョウタさんの《10番目の感傷(点・線・面)》でした。

こちらは暗闇の中で電車が床に引かれた線路を走っていきます。
先頭のライトが線路際に置かれた沢山のふつうの小物をとてもマジカルなものに変化させていきます。
ここでは線路を座って鑑賞するスタイルがおすすめなんです。
もし頑張れるのなら寝転んでしまうのもあり。
座ってみて電車が行き来しているのを見てると
自分の懐かしい思い出とか昔あった人が話した思い出とかをぼんやり思い出すような感覚になります。
子供達も皆笑顔で見ています。



しかし

同じ展示でもこの「Time Train」はまた違った雰囲気。
息子もどちらかというと凝固気味。

それは
テーマがアウシュビッツであるから
カウンターが死へのカウントダウンを連想させるから

いろいろ考えたのですが

線路の高さが鑑賞側に強いメッセージを与えているのではと
自分なりに結論を出してみました。

視線をあげて猛烈なものを見続ける姿勢は
「天井画を鑑賞する姿勢」とか「教会や神社仏閣を見上げる姿勢」に似ている気がします。
あごを上げ気味にして視線を上にして一心不乱に強烈なメッセージ浴びる姿勢は
同時に自分が無防備というか無力な存在になることになるような気がするのです。

宮島さんのこの「Time Train」には
そのような神々しさと強いメッセージを感じさせます。
それがドイツは戦争責任や保証を明確にしているのに
日本は戦争についてしっかりと自分の立場をはっきりさせていないのではないか
それでいいのか??
今この「Time Train」を観ているあなたは日本人として今の日本をどう思っている?
と静かに、でも強く問いかけされているような感じをうけました。


息子に感想を聞くと

「お寺みたいだった。柱もたくさんあったし。途中から怖くなった。
 すごくかっこよかったけど怖かった。」

だそうです。

「電車もいろいろな作品があるんだね」としみじみ言ってました。




「アートなんかは所詮、人間が幸せに生きるためにあるもの。」

と宮島達男氏はインタビューで語っておられましたが
その言葉の裏には

「幸せってのは自分の立ち位置を認識することから始まるんだよ。
 あなたは今どこにいるか分かってる?」

というメッセージがあるような気がしてなりません。

日本という国が迷走を続ける昨今
「自分」というものをちゃんと意識することを忘れずに
自分の世界観をかっこよくスタイリッシュに発信する作家さんがいるということを
主人や息子と体感させることが出来て本当に嬉しかったです。




12月29日(水)までです。
おすすめです。関西の方ぜひ。
スポンサーサイト



theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

2010-12-20

京都造幣芸術大学ギャルリ・オーブ「時代の精神展 第一回 ジョナサン・トーゴヴニク写真展「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」」を観てきました。

IMG_8542.jpg
IMG_8523.jpg

京都造幣芸術大学ギャルリ・オーブ

「時代の精神展 
 第一回 ジョナサン・トーゴヴニク写真展「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」」

を観てきました。

年末この時期は京都に出向くのが我が家の恒例行事です。
今回はどうしても確認したかった展示も多かったので
ギャラリーもいくつかチェック。
そのどうしても気になった展示の1つがこの

「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」

でした。


ジェノサイドとは何か。
ホームページから転記させて頂きます。
ーーーーーーー
1994年、中央アフリカの小国ルワンダでジェノサイド(集団殺害)が起きました。100日間で少なくとも80万人の人々が隣人によって殺されたこの出来事は、20世紀最大の悲劇のひとつとして知られています。

もともとフツ系の人々とツチ系の人々は、民族として明確な区別をもって対立していたわけではありません。ベルギーの植民地政策やフランスの軍事支援などを通して政治的対立が煽られた結果、フツの過激派が少数派ツチの人々を虐殺するという事態が起こったのです。にもかかわらず、当時の国際社会はこのジェノサイドを巧妙に黙殺しただけでした。

じつはその際、大勢の女性が「武器」として性的暴力を受け、その結果およそ2万人の子供たちが生まれたという事実は、いまなおほとんど知られていません。母親たちの多くは、いまだに深刻な肉体的・精神的トラウマを抱えながら、社会的に孤立した状態で子供を育てており、その半数以上はHIV/エイズにかかっているとも言われています。
ーーーーーーー
今回はジェノサイドでの経験を彼女達が直接語っています。
読んでいるだけで女性としては辛い気持ちになるなんて言葉では済まないような
体験ばかりです。
写真と写真の間は微妙な距離感があります。
この距離が彼女達の孤独をより的確に表しています。


私自身出産を経験し子育て奮闘中であります。
子供の存在感ってどうしようもない猛烈な強さで
母親に突進してくる時があるんです。
そしてその強さは時には母親自身をねじ伏せる程の強さがあるのです。
ねじ伏せられた母親は
感じていた気持ちまでもねじ伏せられるような気持ちになり
自分の存在そのものを見失いそうになります。

ジェノサイドという女性の尊厳を踏みにじるような壮絶な体験にも
その「母性」は勝ってしまうという彼女達の語りは私には実感がこもると同時に
とても衝撃的なものでした。




息子に一緒に鑑賞。
そこで何度も私に

「どうしてこの子はおかあさんと一緒なのに笑ってないの?」

と聞いてきました。

「辛い体験をしたのを忘れられないのよ」

と話したのですがその後に

「お母さんは子供と一緒なら元気になるっていつもお母さん言うのにそうじゃないお母さんもいるんだ」

と言われ私がその場に固まってしまいました。

自分が愛する母親の辛い辛い体験の結果であるということを
知った時どんな気持ちだったのでしょうか。

戦争というもので一番傷つくのはいつも弱い存在。
母親の気持ち、そしてこどもの気持ちを思うと
涙が出てきてしまいそうになりました。


こちらの展示は学生さん達が
1つ1つ手作りで作られたものだそうです。
若い方の感想をぜひ伺いたいです。


展示は既に終了しています。


伺った日は12月17日でした。

IMG_8524.jpg
クリスマスのイルミネーションもとても奇麗でした。

theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

アクセスカウンター
カウンター
プロフィール

seina

Author:seina
FC2ブログへようこそ!

最近の記事
検索フォーム
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
Blogram
blogram投票ボタン
カテゴリー
小さな天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

QRコード
QR
ブログ内検索
RSSフィード
リンク