2010-11-30
原美術館「崔在銀 展―アショカの森―」を観てきました。

原美術館にて
「崔在銀 展―アショカの森―」
を観てきました。
気がつけば12月。
今年は「人間というか生きるということ」がどんなことかを考えることが
多い1年でありました。身内に不幸もいくつかありました。
人間は人間の本質に帰る時「森に帰る」ような気がします。
今日はどうしても考え事をしたくて森に行きたい気分だったのですが
でも都会暮らし故近くに森はなし。そこで原美術館の展示を思い出し
時間を作って原美術館まで急ぎました。
いつものように入っていくと
普段とは違うとても素敵な香り。「アショカの森」の入り口です。
今回は美術館内でいろいろな形の森を体感することが出来ます。
まず美術館の中で一番使わない五感である「香り」を
最初に持ってくることで作品鑑賞時の五感のアンテナがより敏感になっていきます。
次は
平面作品?と見間違ってしまうような
非常にゆっくりと動く映像作品「Forever and a Day」。
なんだか豊島で観た「スダジイの森」を思い出しました。
人間というか生き物の生き方をここで振り返るような感覚。
樹海を歩いているようななんだかとても「死」への道を連想させるような
生きてきたことを振り返った人が次の段階へ導かれていくような感じ。
恐怖感すら感じてきたその時奥に作品があることに気づきました。
こちら「もう一つの月」非常に暗くて狭いスペースで待っていてくれます。
少しずつ少しずつ進むと月のような作品が動き出します。
太陽は「与える」けど月は「見守る」。
この細い道は「見守る感」を3倍アップします。
生き物って長さは違えど必ず生きることを終わらせられる運命です。
この宿命を「見守る」月と向き合うことで
「意識をしないで生きてみようか」
と思えるようになる感じがします。
この2つの作品は続けてじっくり観るスタイルが私は好きです。
二階の展示室でとにかく息をのんだのが奥の平面作品「幻想の裏面」。
冬の昼間だとまるで窓まで作品のように見えるのです。
吸い込まれるようにそこに立ちすくむと
窓からぼんやり感じられる光の動きが他の平面作品にも反映されていくように感じて
「時間の動く根源」を感じることが出来ます。
大きな木の幹に耳を押し当てることにより
木の吐息や風邪の吐息を感じることが出来るような感覚。
心棒で自然の鼓動を感じる事が出来ました。
あたくし生きていきますよ。見守っていて下さい。
ちなみに今回もう1つの目的は
奈良美智さんの作品「ドローイングルーム」に浸ること。
涙を止めることが出来ませんでした。。
お部屋はこんな感じ。→ わんわん!
平日昼間というだったので
部屋はまるで一人ずつ鑑賞するような感じに。
じっくり浸ることが出来ました。
奈良さんの作品や絵と向き合うと
年齢を重ねただけで「逃げる権利」を得てしまった自分が情けなくなります。
私本当に逃げてばっかりと本当に泣きたくなります。そして同時に
「大人ってそう考えちゃう時あるよ(にっこり)」
て慰めてもらって別の涙が出そうになるのです。
素朴なんだけどとっても奇麗なクリスマスツリーも本当に素敵です。
こんなに暖かいツリーと向き合ったのは久しぶりです。
ツリーを支えるジュースの瓶も愛おしい。
ぜひツリーにも会いに行って下さい。
また行きたいです。

現在は紅葉がとても奇麗。お庭もとても素敵でした。
展覧会は12月26日まで。
月曜休館です。
12月23日にはクリスマスビッフェがある様です。
いいないいなーうらやましいなー。
theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術