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2019-11-16

ミズマアートギャラリー「青山悟展「The Lonely Labourer」」を観てきました。




ミズマアートギャラリーにて

「青山悟展「The Lonely Labourer」」

を観てきました。


古いタイプの人間なんで、手仕事が好きです。
料理、手芸。実は大好きです。
いわゆる女子力的なものからは程遠い人格の私ですが
日本的に女子力を要するスキル(料理、手芸)は
実は結構あります。
しっかしセレブ力が全くないので、息子の友人から「メイドに間違えられる」
こと数回。。ううう。。。

話が逸れました。



青山さんの刺繍を中心とした作品。
作品は随分前から拝見させて頂いていますが
手を使う暖かさと独特のユーモアと社会性の
ハーモニーにいつも驚かされます。

青山さんは本当にユーモアあふれる方。
拙ブログもずっと読んでくださってるそうです。
「子供がおっきくなってく美術ブログ」という
素晴らしいネームをつけてくださったのも青山さん。

青山さんの作品には
冷静な社会観察と、その冷静さをユーモアで包み込む
優しさが同居しているように感じます。
展覧会に伺って作品を何度も何度も拝見していると
先ほどは見つけられなかった発見を毎回体験するので

「実は、この作品生きてる?」

と感じてしまうほどです。

そしてその冷静さの視線の中に

「このまま突っ走っていいのかな?」

という冷静な問いかけを投げかけてきます。








今回の作品のメインテーマである「ウィリアム・モリスさん」。
19世紀、英国でデザイナーとして活動していたそうです。
同時に当時の環境に問題提起を行う社会活動家でもあったとのこと。
労働で生み出される成果物に芸術性が備わることで
労働は浄化し、永遠に続くというのが
彼の主張だったそうです。

参考;
アートから世界を読む
労働の喜びとは?ウィリアム・モリスの夢を刺繍する青山悟のアート




でも実際はそうはならなかった。現実がもっと厳しく、
悲しいものであったような気がします。
現在日本を拠点にせず、保護者VISA滞在なので
「保護者であること」を主として生活している私は
対価を得る労働をマレーシア国内では行えないので
「私の労働ってなんだろう」
って考えてしまう時があります。

そしてこのアクティブ感満載なお土地柄。

東南アジアに住んで丸5年、現在は6年目になります。
インフラが整いきっていないからこそできる様々な「カイゼン」と
80年代のバブル期を知っている私としてはワクワクしっぱなし。同時に
なんだよこれ!って叫びたくなるようなトラブルも
ある意味ワクワクします。

そして現在は80年代にはなかった様々なテクノロジーがあります。
東南アジアの発展は日本のバブル期を知ってる者としては
とても懐かしいと同時に予想がつきません。
このテクノロジーがこれからの人間社会にどのように影響していくのか。
考えれば考えるほど、怖くなります・
私たちの未来、そして次世代の未来はどうなっていくのか。。
私たちは何が出来るのか。

ダンスを踊るようなミシンの音を聴きながら、考え込んでしまいました。


展示は既に終了しています。


来年はニューヨークで池田さんとの二人展も予定されてるそうです。
こちらも楽しみですね。
(久しくアメリカ行ってないなあ。。。)
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theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

2019-09-17

The Back Room KL「Exhibition - "Memories" by James Seet」を観てきました。



The Back Room KLにて

「Exhibition - "Memories" by James Seet」

を観てきました。



個人的に思うんですが、クアラルンプールの
「いい感じのお店」のセンスってちょっと半端なくいいです。

車で「わざわざ来る」人を対象にしているからでしょうか。
雑貨センスのレベルがかなり高いと個人的に思っています。




今回はいつもお世話になってるRichard Koh Fine Art が
関係している個展。
現在クアラルンプールはかなり強力なヘイズが来ているので、
どこかに積極的に出かける気分になりません。
そんな状態の中の展示の案内なので、
喜んで出かけていきました。

クアラルンプール中心部から高速で
ちょっと行った場所にあるこの建物。
それなりに廃墟感のある建物の一角に、
なんだか心躍らせるような素敵な看板を発見。



早速ビルの階段を上ってみると、こんな素敵なギャラリーに出会いました。








ジェームス・シートさんは「記憶」をテーマに優しい世界を作り上げていました。
陶芸が作り出す土の力強さと漁を連想させる網。フジツボを連想する陶器作品は
ここは都会の一角なのに、なんだか、海の香りを感じます。


なんだか瀬戸内国際芸術祭にあいそうだねー

と親子で話しました。
もうすぐ、秋会期ですね。









それにしても、めっちゃかっこいアートビルだった!
クアラルンプール やジャカルタは、こういう

「超かっこいい集落」

が突然出てくる底力があるよなあって思います。
全てのバランスが可愛い。
デザイン力や発信力のバランスが悪いアート集落は
なんというか

「水平棒を使わないとわからない程度の違和感」

にモヤモヤしたりするんですが
ここは全てのバランスにリズム感があった。





カフェお店も素敵でした。
サンドイッチもすごく美味しそうだった!
(今度食べるんだ!)


展示にも心洗ってもらったんですが
素敵な場所を知ることができてとても良かったです。
ヘイズはまだまだ続きそう。
今月中に収まってくれるといいんだけど
さてどうなりますかね。。。


展示は9月29日まで。
向かう手段は車しかないです。
ビルの中はとてもフレンドリーですが
周囲はあまり治安が良さそうではないので
実際に出向く際は帰りなどに十分注意して
お越しください。

theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

2019-08-21

MIZUMA ART GALLERY「岡田裕子展「ダブル·フューチャー」」を観てきました。



MIZUMA ART GALLERYにて

「岡田裕子展「ダブル·フューチャー」」

を観てきました。


一時帰国していたわけですが、実はものすごい事件が一時帰国直前に起きました。
私、息子が水浸しにした洗面所で派手に転倒して
バスタブの角に頭を強打して、流血。8針縫いました。。。
自分で止血してそのまま病院に行くという強硬策を
なんともおもわずやったのは
修羅場上等人生だからでしょうか。
頭部に包帯って頭に色々巻いてる国でも
やっぱりギョッとされるんですね。
マレーシアで縫っていただき
抜糸は日本でという国を跨いだ治療に、もう笑うしかなかったです。



そんな頭部負傷状態で拝見したこちらの展示。
岡田さんとは同じ母として仲良くさせて頂いていると同時に
とてもとてもアーティストとして尊敬しています。




今回は

「臓器提供が一般化した未来、
提供者情報の提供ができない代わりに
自分の臓器をジュエリーにして渡す習慣ができたら
どうなるだろう?」

というコンセプト。
自分の体の内面の具現化と
その具現化を別の世界に一人歩きさせる表現。

これ、頭縫われたばっかりの自分としては
とても面白かったんですよね。
頭を縫われてる際、こちらの病院の先生は


「マダム、痛かったら言ってね!聞くことはできるからね!」


と爆笑しながら
しかもめっちゃ流血させながら
縫ってくれたのですが
(なんだよ聞くだけかよ!と自分の血が滴る様をみながら笑うしかなかった)

この血ってどのくらい私の体の中に入ってるんだろうとか
この体の中に自分の臓器があるわけだけど
息子も私の体の中に入っていたわけで
そうなると私の体の中の一部が外に離脱したってことなのかなとか
この流れる血と今朝私をすっ転ばせた息子は
全然違う形態だけど実は根底は一緒なのかなとか
色々考えていたんですよ。

よく、赤ちゃんや赤ちゃんのように可愛いっていうのを
「食べちゃたいくらい可愛い」って
言う表現がありますが
その「食べちゃいたい」っていうのは
自分の体内(身体内宇宙空間)で一体化したい
ってことなのかなとか。



この「ダブル·フューチャー」展を拝見しながら
あの時考えていた
人の体の中の宇宙性と
身体内宇宙での造形美について
こんな風に具現化できるんだなと
とても感銘を受けました。

同時に頭部の傷がちょっとウズウズしました。
(おかげさまでもう完治しております!)

この「岡田裕子展「ダブル·フューチャー」。
作品集も出てまして鑑賞当日がギャラリーに到着したばかりの日で
一番最初にサインを入れて購入させて頂きました!



「俺の産んだ子」と共に読み返しながら
頭部の傷跡と傷のために毛刈りされた後頭部
(もう髪伸びました)を撫でると
身体内の宇宙が感じられて超面白かったです。

こちらの展覧会、市ヶ谷では終了ですが

岡田裕子「NADiff Theater ★ Double Feature」

としてNADiff A/P/A/R/T 1Fにて
絶賛開催中とのこと。
(NADiff は行くたびに毎回迷ってしまう😭)
こちら、9月14日には岡田さんのトークもある模様。
ぜひ詳細をこちらでチェックして、足をお運びください。

theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

2019-07-05

【Kuala Lumpur】Wei-Ling Contemporary 「The Buddhist Bug: A Creation Mythology by Anida Yoeu Ali」を観てきました。



Wei-Ling Contemporaryにて

The Buddhist Bug: A Creation Mythology by Anida Yoeu Ali

を観てきました。


気がつけばもう7月。息子の学校ももうすぐ夏休みに入ります。
年度末に向けて忙しいったらありゃしないなんで
このWei-Ling Contemporaryからの
オープニングのインビテーション、そのままにしちゃったんですよ。。

いやあ後悔しました。
ほんと行けばよかった。





The Buddhist Bug 「仏教芋虫」とはまた挑戦的なタイトル。
パフォーマンスを記録した写真が基本的な展示スタイルのようなんですが
パーティーだとリアルな「The Buddhist Bug」に出会えたようなんです。
ああこれは逢いたかった。。。







Anida Yoeu Aliさんはマレー人だけでなく様々なバックグラウンドを
お持ちのアーティストさんのようです。
おそらく1つの国だけでは自分は表現しきれないから!という
自負があるんだと思います。
この自負は作品にも表れています。





芋虫に扮した彼女がカンボジアの日常生活に強引に集合する様は
カフカの「変身」の中盤の部屋を徘徊を楽しみ
変身した主人公を自身も周囲も受け入れたひと時の安住の時間を
感じさせます。
そして変身による経緯で家族に見捨てられる主人公は
結果的に悲しい運命をたどるわけですが
生き絶える直前に走馬灯のように思い出す
楽しい記憶を連想させます。

人間は次の瞬間、何が起こるかわかりません。
これは東日本大震災に遭遇した時に
痛感したことでもあります。
一瞬で状況は変化し、安住と思って居た場は消える。
その安住の記憶を思い出すなあと
最初はユーモラスなスタイルに
クスクスしていたのに
なんだか考え込んでしました。

この面白さと混乱はきっとオープニングパーティーでの
パフォーマンスを見たら
もっと深く考察できたなあと
忙しさにかまけていけなかったことを深く後悔。。

(でもKLだと本当に移動大変なんです。。)

カフカの「変身」読み返したくなりました。


8月18日まで。
詳細は公式サイトをご確認ください。

theme : 美術館・博物館 展示めぐり。
genre : 学問・文化・芸術

2019-05-28

SNOW Contemporary「竹内公個展「盲目の爆弾」」を観てきました。



SNOW Contemporaryにて

「竹内公個展「盲目の爆弾」」

を観てきました。


竹内公太さんは1982年生まれのアーティスト。
現在は福島県を拠点に活動を行っているそうなんです。
この個展は4月13日まで。
先月の一時帰国の際に伺うことができました。

今回の一時帰国は父の墓参りが主目的でした。
父の墓は福島の会津若松にあります。
4月だから桜って期待してたらなんと
雪が降ってきたというサプライズもありました。
この福島に行ってからこの個展を拝見したというのは
とても重要でした。




竹内公太さん、最初の出会いからもう衝撃で衝撃で・・・。
金属バッドで殴りまくるパフォーマンス
「ふるさと」には心底驚かされました。
そして彼が代理人を務めた
指差し作業員の代理人として
ボックスに1日入るパフォーマンスを行った
「公然の秘密」(SNOW Contemporary、東京、2012)
も忘れられない展覧会でした。
こちら、竹内さんとどうしてもお話ししたい!って
息子の願いがあって2回行ったんですよね。。。
ギャラリーの方も知らない秘密が聞き出せて
びっくりしたのも良い思い出です。



さて。



この映像作品「「盲目の爆弾、コウモリの方法」は
第二次世界大戦時の44年から翌年にかけて
日本軍によって投下された
風船爆弾の歴史を扱った映像作品。
40分近くあるので息子が
飽きちゃうかなって思ったんですが。。。



もう引き込まれまくりでした。



風船爆弾。
今にして思えばなんだそれ状態のものを
劇場で市民が身を粉にして作り、
そして大本営が伝える
フェイクニュースに喜び、
また作成する、
繰り返される虚構の世界。。

なんだか身につまされます。


こちらは竹内さんがレジデンスで
2017年にアメリカに滞在していた時に
行った調査を元にした作品とのこと。



このような作品って
もちろんすごく深いんだけど
でも退屈してしまうような
箇所があったりするんだけど
この作品には全くそれがなかった。
エンターテイメントとしてもすごく面白かった。



特に、いま東南アジアで暮らしているので
私たちにとって第二次世界大戦というのは
中側の想いと外からの想いという2つの想いがあります。

中側は、私が子供の時に授業で勉強した歴史、
読んだ本、行った博物館。
外側は東南アジアからみた「日本軍」という存在です。
この中側と外側の視点を持つようになってから
私自身が「戦争」をモチーフにした
作品への鑑賞方法が確実に変わりました。


戦争の多面的な部分を常に意識し、
そして現在生きてる自分は何をすべきか。
それを常に、常に考えます。


私は英国、オーストラリアの関係したコミュニティに
生活しているのでまた米国側とは違った視点な感じがします。。
この複数の視点を大事に維持しながら
これからも色々な作品を拝見したいと思います。


展示は既に終了しています。

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genre : 学問・文化・芸術

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